↑開設1時間後になぜか消えた尹錫悦(ユン・ソギョル)さんのFacebookページより
2021年06月29日、尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長が韓国の次期大統領選挙に出馬することを宣言しました。
会場には出馬を応援する人が多数集い、尹さんは「国民の皆さんへ」とする演説を行いました。
以下がその内容です。長いですが、人の胸を打つ演説ですのでぜひご一読ください。
尊敬する国民の皆さん
私は03月初めに公職から退いた後、多くの方々に会いました。
皆さん国の将来を心配していました。一体国はこの先どうなるのか、と。
天安艦事件を経験した青年ジョン・ジュンヨンは怒っていました。K-9事故(韓国軍の自走榴弾砲/2017年に爆発事故があった:筆者注)の青年イ・チャンホは悔しくてではなく、忘れられないために本を書きました。
生き残った主人公は、生きていることをむしろ痛みに感じました。国を守り、国民を守った私を、なぜ国は捨てるのかと。
麻浦区(ソウル市漢江北岸の繁華街:筆者注)の自営業者は一体いつまで持ちこたえなければならないのか、国はなぜ犠牲だけ要求するか、と尋ねました。
大韓民国を造り、守った英雄たちです。私、ユン・ソンニョルは、その方々と共にあります。産業化と民主化を達成し、今の大韓民国を作った偉大な国民は、その国民の常識から出発するのです。
その常識を武器に、崩れた自由民主主義と法治、世代間を貫く価値を必ず再建します。定義が何なのか心配する前に、誰もが日常で感じることができるようします。これは私の胸に刻んだ使命です。
4年前、文在寅政権は国民の期待と熱望の中で発足しました。「機会は平等、過程は公正、結果の正義」と言い、「特権と反則のない国」を作ると約束しました。
私たちは全てを注意深く覚えています。ところが、これがどうなりましたか?
経済常識を無視した所得主導型成長、市場原理に反した住宅政策、法を無視し、世界一流の技術を損なった脱原発、ポピュリズム政策に多くの青年、自営業、中小企業、低賃金労働者が苦痛を受けました。
政府債務の急増でろくな仕事も見つからなかった青年世代が膨大な未来の負債を背負いました。
青年はやっと仕事を得ても、急騰する不動産価格を見てため息ばかりついています。青年の挫折は、大韓民国を人口減少の崖に追い込んでいます。
国民を、私の側、あなたの側と分断し、常識とプロセス、法治を踏みにじり、国の根幹を崩して、国民を失望と怒りに陥らせました。
この政権が犯した非道な行動はいちいち数え上げることも困難です。政権と利害関係に縛られた少数の利権カルテルは、権力を私有化し、責任意識と倫理意識が麻痺した生態系を構築しています。
この政権は、権力を私有化するだけでなく、執権を延長し、国民からの略奪を継続しようとしています。
私たちの憲法の根幹は自由民主主義で「自由」を重んじます。
民主主義は、自由を守るためのものであり、自由は、政府の権力を掣肘します。そのため、自由が抜けた民主主義は実質民主主義ではなく、独裁です。
この政権は、一体どのような民主主義を望んでいるのでしょうか。到底これを座視するわけにはいきません。
自由民主主義とは勝者のためのものであり、それ以外の人は度外視するものだという誤解があります。
人間は本来、全て平等な存在です。だから、誰かが誰かを支配することはできず、全ての個人の自由が保障されます。
しかし、自由民主国家では私の自由だけが大事なのではなく、他の人の自由と尊厳、生活も同様に重要なのです。
尊厳のある生活に必要な経済的基礎と教育の機会がない場合、自由はむなしいものになってしまいます。
勝者独占は絶対に自由民主主義ではありません。自由を守るための連帯と責任が重要です。そしてこれは、自由民主主義を追求する国民の権利でもあります。
国際社会は、人権と法治、自由民主主義の価値を共有する国々との間でのみ重要な先端技術と産業施設を共有する体制に急変しています。
外交安保と経済、国内問題と国際関係が分離されることはありません。一体なのです。
今、戦争は銃で戦うものではなく、半導体で行われます。国際社会でも、大韓民国が文明国の普遍的価値に基づいているという明確な立場を示さなければならないのです。
大韓民国がどんな国なのか、しっかりとアイデンティティを示し、敵と友人、競争相手と協力者の両方に予測可能性を示す必要があります。
今、私たちは経済社会システムの基盤となる技術の根幹が革命的に変わる時代を迎えています。
過去には想像もできなかった高度情報処理技術が私たちの生活を大きく変化させています。私たちは、技術革命に伴う社会の変化を拒否することができません。過去の方法で働くだけでは、国際分業システムから落伍した古い製造業国家に分類されてしまいます。
私たちに訪れる新技術革命時代の課題を克服するためには、科学技術と経済社会制度の革新が必要です。
技術革新は、自由創造的な思考、自律的な雰囲気の中、公平な機会と補償、予測可能な法治から出てくるものです。幅広い表現の自由、公正と常識、法治の栄養を食べで革新は成るのです。
国民全て見ている衆人環視の下で、傲慢に法の常識を踏みにじる政権に公正と自由民主主義を望んで革新を期待するなどということは、妄想に過ぎません。
現在、国民が直面している生活の問題を解決せず、国民に苦痛のうめき声をもたらす政治勢力は、新しい技術革命の時代に準備する対処能力も意志もありません。
この執権が政権担当を延長するようなことがあれば、大韓民国の将来がどうなるか、火を見るよりも明らかです。
私たち国民は全てを知っています。もはや彼らの欺瞞と偽り、扇動にだまされはしないでしょう。
今、私たちは、このような腐敗し無能な勢力の執権延長と国民からの略奪を防がなくてはなりません。
これに同意する全ての国民と軍は力を合わせるべきです。必ず政権交代を行います。
いたらぬ私に、国民の皆さんが多くの激励と支持を送ってくださいました。私はその意味が、権力に対して法を執行しろ、萎縮するなという励ましであると考えてきました。
公職を辞した後も、国民の皆さんは辞職が不可避であることを理解してくださり、絶え間ない支持と声援を送ってくださいました。
私はその意味を深く考えました。常識を覆し、自由と法治を否定する勢力に政権を延長させず、国民に苦痛を与えないように政権を交代することに専念しろ、その先頭に立てという意味だと思います。
政権交代は、必ずやり遂げなければなりません。
政権交代を成し遂げなければ、改悪と破壊を改革と言い募り、独裁を民主主義と言う扇動者と腐敗した利権カルテルが今よりも幅を利かせる国になって、国民が長い間苦痛を受けることになります。
それこそ「腐敗が横行する大韓民国」になるでしょう。
政権交代という国民の熱望に応えなければ、国民と歴史の前にぬぐうことのできない罪を犯すことになります。
私ユン・ソンニョルは、必ず政権交代を実現するという切実な思いを持っています。
圧倒的多数の議席と利権カルテルの護衛を受けて政権は強大です。そのため、9つの考えは違っても、ひとつの考え――政権交代で国を正常化させ、国民が本当に主人である国をつくるという考えを同じくする全ての人が力を合わせるべきです。
考えが多少違っても人々が力を結集するとき、私たちはより強くなります。そうしてこそ勝つことができます。そうしてこそ、奪われた国民の主権を取り戻すことができます。
私は政治の一線での経験はありません。
しかし、人事権を持つ権力者ではなく、国民の意に沿ってひたすら国民だけを見つめ働かなければならないという信念で26年の公職生活を送ってきました。
法と正義、自由民主主義の価値を現実のものとすることが言葉のように簡単ではないことを身をもって体験してきました。
国民の皆さん、これまで私は法治を実現する過程であらゆることを経験し、見てきました。
政治は国民が暮らす上での懸案を解決し、未来を準備することです。私たちの懸案を解決し、未来を準備する工程で法治は欠かせない基本的な価値です。この価値を正しく立て直すことが国民のための政治の始まりです。
国民の皆さん、私は国民と国家の未来のために我が身の全てを捧げ、献身する準備ができていることをあえて申し上げます。
政権交代を熱望している全ての人々と力を合わせて確実に実行していきます。
私たちの未来を担う青年が怒りに身を任せないで済む国、国のために犠牲を払った人が怒らないで済む国、工業化に一生を捧げた人が怒らないで済む国、民主化に専念し黙々と生きていく人が怒らないで済む国、税金を支払う人が怒らないで済む国をつくります。
青年たちが存分に活躍するダイナミックな国、自由と創意あふれる革新の国、弱者がひるまない温かい国、国際社会と価値観を共有し責任を果たす国を必ず作ります。
偉大な国民の皆さん、私たちは成し遂げることができます。頑張りましょう。
ありがとうございました。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「【独占】尹錫悦、大統領選挙出馬宣言…『腐敗無能勢力の執権延長を防がなければならない…必ず政権交代する』」
現文在寅政権を的確に批判したなかなかの名演説ではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)