アメリカ合衆国と中国との対立が深化しており、中国は自由主義陣営国側から蹴り出される方向で決まっています。いわゆる「新冷戦」なわけですが、日本は憲法9条の制約の中、防衛力を強化する方向で動いています。
日本の岸田文雄首相が訪英し、イギリスのリシ・スナク首相との会談を行い、両首脳は「日英部隊間協力円滑化協定」に署名しました。これで
ちなみに日本の外務省はこの協定締結の意味について、以下のように説明しています。
1.日英部隊間協力円滑化協定は、日英の一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定める協定です。我が国が、部隊間協力円滑化協定を署名するのは、豪州に続いて英国が2番目です。
2.この協定により、今後、日英両国が艦船の寄港や共同演習といった協力活動を実施する際の手続が簡素化され、日英両国の安全保障・防衛協力が一層活発化することが期待されます。
3.ロシアによるウクライナ侵略や、東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試み等により、これまで築き上げてきた国際秩序が挑戦にさらされ、国際的な安全保障環境が世界各地で一層厳しくなっています。
このような中、アジア及び欧州における互いの最も緊密な安全保障のパートナーである日英が、安全保障分野の重要な協定に署名したことで、日英安全保障・防衛協力は新たな高みに引き上げられ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた動きが更に進展することとなります。
⇒参照・引用元:『日本国 外務省』公式サイト「日英部隊間協力円滑化協定の署名」
思いこさせるのは、1902年(明治35年)01月30日に締結された第1次日英同盟です。1904年に日露戦争に突入することになる日本としては、日英同盟は大きな後ろ盾になりました。
今回の日英協定について、さっそく中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』がこき下ろす記事を出しています。以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
イギリスと日本がそのような動きをしたことは驚くべきことではない。両国は、価値観や政治制度において強い類似性を共有している。
両国は、ワシントンの全ての同盟国の中で、間違いなくアメリカ合衆国と最も強い結びつきを持っている。さらに、彼らは中国をアジア太平洋地域における主要な課題と見なしている。
(中略)
実際、イギリスと日本はどちらも「down-and-out powers(ダウンアンドアウトパワー)」だ。
一方は太陽が沈んだ元帝国であり、もう一方の「昇る太陽」は再び昇るのに苦労している。
彼らには野心があるが、それを支える力はない。
彼らは彼らの束から相乗効果を期待していますが、これは衰退の深刻な2つの国にとってほとんど不可能である。ロンドンと東京もまた、ワシントンの世界戦略に従うことで、世界の大国になるという目標を達成しようとしている。
しかし、この戦略は、合衆国の世界覇権を維持しようとするその本性を露わにし、多くの地域諸国から疑問視され、拒否さえされている。
したがって、アジア太平洋での将来性は全くない。間違ったアプローチに導かれて、イギリスと日本の努力は無駄になるだろう。
(後略)
英国は斜陽帝国だし、日本も衰退し昇ることができないでいるので「帝国の夢」は無理だ――とこき下ろしています。ジェームズ・ボンドを「斜陽帝国最後のスケコマスシ」と評したのは、確か東郷隆先生だったはずですが、2023年になって中国も自信を持ち、御用新聞でイギリスを斜陽帝国と言えるようになったのです。
「多くの地域諸国から疑問視され、拒否さえされている」と書いていますが、「多くの地域諸国から」ではなく「中国から」が正しいです。
「他のアジア諸国から日本は非難されている」といった言い方と全く同じです。
ともあれ、これほど御用新聞が貶めるということは「効いてる、効いてる」ということを意味しています。
(柏ケミカル@dcp)