中国商務部「中国産レアアースが0.1%以上を占める」場合は中国当局の許可を得なければならない」⇒ トランプ大統領が激怒。

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2025年10月09日、中秋節の連休が明けて、中国で大きな動きがありました。

2025年10月01~08日がお休みでした。

中国商務部が以下の「第61号公告」を出したのです。

これは――、

海外で生産された製品であっても、中国産レアアースが(製品金額の)0.1%以上を占める物品については当局の許可を得なければならない

――と規制強化を告げるものです。

以下が商務部の出した公告の全文です。一応、以下に全文を和訳しますが、面倒くさい方は飛ばしていただいて、次の小見出しまで進んでください。

【発布機関】安全と管制局
【公告番号】商務部公告2025年第61号
【公布日】2025年10月09日

国家の安全と利益を維持するため、『中華人民共和国輸出管理法』『中華人民共和国デュアルユース物項輸出管理条例』などの法律・法規の関連規定に基づき、かつ中華人民共和国国務院の承認を経て、以下の輸出管理措置を講ずることを決定する。

一、域外の組織および個人(以下「域外特定輸出事業者」という)は、以下の物項を中国以外の他の国家および地域に輸出する前に、中国商務部が発給するデュアルユース物項輸出許可証を取得しなければならない。

(一)本公告別紙1第1部に掲げる物項が原産地として中国であるものを含有、集成または混合して域外で製造された、本公告別紙1第2部に掲げる物項であって、当該別紙1第1部に掲げる物項が、域外で製造された別紙1第2部に掲げる物項の価値比率0.1%以上に達するもの;

(二)中国原産の希土類の採掘、製錬・分離、金属冶金、磁性材料製造、希土類二次資源回収利用に関する技術を用いて、域外で生産された本公告別紙1に掲げる物項;

(三)中国原産の本公告別紙1に掲げる物項。

二、域外の軍事ユーザー向けの輸出申請、ならびに輸出管理の管理リストおよび注視リストに掲げる輸入者および最終ユーザー(その50%以上を支配する子会社、支店等の分枝機構を含む)への輸出申請については、原則として許可しない。

三、以下の最終用途に用いられる、または用いられる可能性がある輸出申請については、原則として許可しない。

(一)大量破壊兵器およびその運搬手段の設計、開発、生産、使用;
(二)テロリズム目的;
(三)軍事用途または軍事的潜在能力の向上。

四、最終用途が、14ナノメートル及びそれ以下のロジックチップまたは256層及びそれ以上のメモリチップの研究開発・生産、および上記プロセスの半導体を製造する生産設備、試験設備及び材料、または潜在的軍事用途を有する人工知能の研究開発である輸出申請については、個別に審査する。

五、緊急医療、突発的公衆衛生事態への対応、自然災害救助等の人道的救援を最終用途とする輸出申請については、域外輸出事業者はデュアルユース物項輸出許可証の申請を要しない。

ただし、輸出後10営業日以内に電子メール(jingwaibaogao@mofcom.gov.cn)により中国商務部に報告し、当該物項が中国の国家安全と利益を害する用途に用いられないことを誓約しなければならない。

六、域外特定輸出事業者がデュアルユース物項輸出許可を申請する場合は、『中華人民共和国デュアルユース物項輸出管理条例』第16条および中国商務部デュアルユース物項輸出許可審査システムの要件に従い、関連書類を提出しなければならない。関連書類は中国語を準拠とする。

審査システムのURLは:http://ecomp.mofcom.gov.cn。

域外特定輸出事業者は直接申請書類を提出することもでき、または中国国内に所在する企業、仲介サービス機関、商工会、協会等に委託して手続きを行うこともできる。

関連する仲介サービス機関または商工会、協会は、独立の法人であるか、または独立して法的責任を負い得る非法人組織でなければならない。

域外特定輸出事業者が、輸出を予定する物項が本公告の規定に従い輸出許可を申請すべき物項に該当するか否かを判断できない場合は、電子メール(jingwaizixun@mofcom.gov.cn)により照会することができる。

七、国内の輸出事業者が本公告別紙1第1部に掲げるデュアルユース物項を輸出する場合は、輸出通関時に要件に従って最終仕向け国または地域を記載し、本公告に添付のコンプライアンス指針に従って、域外の輸入者・最終ユーザーに対し「コンプライアンス告知書」を交付しなければならない。

域外の輸出事業者は、本公告に添付のコンプライアンス指針の要件に従い、本公告の管理対象となる物項を移転または輸出する際、次の受領者に対して「コンプライアンス告知書」を交付しなければならない。

八、本公告の「一(一)」および「一(二)」の部分は2025年12月01日から施行する。本公告の「一(三)」の部分は公布日から施行する。

別紙:
1.物項リスト.wps
2.「コンプライアンス告知書」指針.wps

⇒参照・引用元:『中国 商務部』公式サイト「商务部公告2025第61号 公布对境外相关稀土物项实施出口管制的决定」

レアアースをテコに中国に従わせようとするもの

この第61号公告は、

「中国産レアアース製品を作ったら『どこで作っても』中国の許可が要るような法律を拡大した」――これが第61号の肝です。

実務的には中国からの供給・将来の取引をテコにして中国に従わせようとするもので、「0.1%という閾値」は企業側の手間と不確実性を最大化するよう設計されています。

合衆国がやっている「合衆国の技術を用いた製品の輸出には合衆国の許可がいる」というのと似ていますが、

アメリカ合衆国(EAR/ITARなど)
⇒ 法律そのものに域外適用の仕組み(de minimis、FDP)を組み込み、合衆国の金融・通関・ドル決済・合衆国系企業を通じて直接罰を与える。

中国(希土類0.1%含有など)
⇒ 域外の直接制限は弱く(現在のところは)、供給停止+中国市場アクセスというビジネス・レバーを働かせる。

もっと簡単にいえば、「許可を取らないと商売が回らない」状態を作る――ことで「中国の言うことを聞かせる」ための法律です。

レアアースという「素材のチョークポイント」を狙って、軍事・先端半導体・潜在軍事AIなどへ流れる回路を把握・選別・抑止するのが主目的だといえます。

何が起こるかというと――「中国とのデカップリング」が確実に推進されます。

すでに始まっています。

2025年10月10日、合衆国のトランプ大統領はSNS『True Social』に以下にように投稿しています。長文ですが、以下に全文を和訳します。

Some very strange things are happening in China! They are becoming very hostile, and sending letters to Countries throughout the World, that they want to impose Export Controls on each and every element of production having to do with Rare Earths, and virtually anything else they can think of, even if it’s not manufactured in China. Nobody has ever seen anything like this but, essentially, it would “clog” the Markets, and make life difficult for virtually every Country in the World, especially for China. We have been contacted by other Countries who are extremely angry at this great Trade hostility, which came out of nowhere. Our relationship with China over the past six months has been a very good one, thereby making this move on Trade an even more surprising one. I have always felt that they’ve been lying in wait, and now, as usual, I have been proven right! There is no way that China should be allowed to hold the World “captive,” but that seems to have been their plan for quite some time, starting with the “Magnets” and, other Elements that they have quietly amassed into somewhat of a Monopoly position, a rather sinister and hostile move, to say the least. But the U.S. has Monopoly positions also, much stronger and more far reaching than China’s. I have just not chosen to use them, there was never a reason for me to do so — UNTIL NOW! The letter they sent is many pages long, and details, with great specificity, each and every Element that they want to withhold from other Nations. Things that were routine are no longer routine at all. I have not spoken to President Xi because there was no reason to do so. This was a real surprise, not only to me, but to all the Leaders of the Free World. I was to meet President Xi in two weeks, at APEC, in South Korea, but now there seems to be no reason to do so. The Chinese letters were especially inappropriate in that this was the Day that, after three thousand years of bedlam and fighting, there is PEACE IN THE MIDDLE EAST. I wonder if that timing was coincidental? Dependent on what China says about the hostile “order” that they have just put out, I will be forced, as President of the United States of America, to financially counter their move. For every Element that they have been able to monopolize, we have two. I never thought it would come to this but perhaps, as with all things, the time has come. Ultimately, though potentially painful, it will be a very good thing, in the end, for the U.S.A. One of the Policies that we are calculating at this moment is a massive increase of Tariffs on Chinese products coming into the United States of America. There are many other countermeasures that are, likewise, under serious consideration. Thank you for your attention to this matter!

DONALD J. TRUMP, PRESIDENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA

中国で非常に奇妙なことが起きている!

彼らはますます敵対的になっており、世界中の国々に手紙を送り、レアアースに関わる生産のあらゆる要素、そして彼らが思いつくほとんどすべての物事について、たとえそれが中国で製造されていなくても、輸出規制を課したいのだと伝えている。

誰もこれに類するものを見たことがないが、要するに、それは市場を「詰まらせ」、世界のほぼあらゆる国々に、とりわけ中国自身にとって、生活を困難にするだろう。

われわれは、どこからともなく出てきたこの重大な貿易上の敵対行為に極めて怒っている他の国々から連絡を受けている。

過去6カ月にわたる我々の中国との関係は非常に良好なものだったため、この貿易に関する動きはいっそう驚くべきものとなっている。

私は常々、彼らは機会をうかがっていたのだと感じており、そして今、いつものように、私は正しかったことが証明された!

中国が世界を「人質(captive)」にすることは絶対に許されるべきではないし、だが、彼らの計画は、少なくともかなり長い間そうであったように見える——「磁石(Magnets)」から始まり、そして、彼らがひそかにある種の独占的地位へと蓄積してきた他の元素へと続く——これは、控えめに言っても、かなり陰険で敵対的な動きだ。

だが、合衆国にも独占的地位があり、それは中国のものよりはるかに強力で、より広範に及ぶ。

私がそれを使うことを選ばなかっただけで、そうする理由がまったくなかった——今までは!

彼らが送った手紙は多くのページにわたり、他国への供給を差し控えたいとする各元素(各品目)を、極めて具体的に列挙している。

日常的だったことが、もはやまったく日常的ではなくなったのだ。

私が習主席と話していないのは、そうする理由がなかったからだ。

これは私にとってだけでなく、自由世界のすべての指導者にとっても、本当に驚くべきことだった。

私は2週間後、韓国でのAPECで習主席と会うことになっていたが、今ではそうする理由はなさそうだ。

中国からの手紙は、特に不適切なものであった——なぜならその日は、三千年の混乱と戦いの後に中東に平和(PEACE IN THE MIDDLE EAST)が訪れた日だったからだ。

このタイミングは偶然だったのだろうか?

中国が今しがた出した敵対的な「命令」について何を言うか次第だが、私は、アメリカ合衆国大統領として、彼らの動きに金融面で対抗せざるを得なくなるだろう。

彼らが独占するそれぞれの元素に対して、われわれは(独占的な強みを)二つ持っている。

こんなことになるとは思っていなかったが、恐らく、あらゆる事柄と同じく、その時が来たのだろう。

たとえ痛みを伴う可能性はあっても、結局のところ、最終的には合衆国にとって非常に良いことになるだろう。

現時点でわれわれが策定している政策の一つは、合衆国に入ってくる中国製品に対する関税の大幅な引き上げである。

他にも多くの対抗措置が、同様に真剣に検討されている。

この件にご注目いただき感謝する!

ドナルド・J・トランプ、アメリカ合衆国大統領

⇒参照・引用元:『True Social』「Donald J. Trump」

トランプ大統領は「中国が世界を『人質』にすることは絶対に許されるべきではないし……」と、書いていますが、「じゃあ、あんたがやってるカツアゲは何なんだ」と問いたくはなります。

しかし、またぞろトランプ大統領は「中国に対する関税を上げる」ことを考えてる――としました。

上掲のとおり、2025年の合衆国は、中国から01~07月累計で「1,938億9,020万ドル」を輸入しています。

これは中国から見れば輸出になりますが、関税が上昇して対米輸出が減少すると、中国はさらに困窮することになるでしょう。

中国による「レアアース規制」は、もちろん日本にも大きな影響を与えます。

(吉田ハンチング@dcp)

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