2025年10月29日、訪韓したアメリカ合衆国のトランプ大統領と、韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんとの間で米韓首脳会談が開催され、「米韓関税交渉妥結」と公表されたのですが、2025年11月05日現在、いまだに「共同声明」も「MOU(了解覚書)」も出ていません。

金容範(キム·ヨンボム)大統領室政策室長が「1~3日のうち」にはMOUを公表できるだろう――としたのですが、「MOUを締結した」――という公表がありません。
「どうなってんだ」と韓国メディアが心配しても当然です。
韓国メディア『NEWSIS』が「いつ出るの?」について記事にしています。同紙の記事から一部を以下に引いてみます。
(前略)
05日、通商当局によると、政府は先月29日に米韓首脳が合意した内容を文書化している。関税・安保分野を包括するファクトシートと、対米投資の詳細を盛り込んだMOUをそれぞれ準備中だ。
大統領室が最近、文書の公開時期を「今週」と明言したことで、発表が目前に迫っているとの観測が出ている。
(中略)
今回の協議により、米国は相互関税および自動車品目別関税を25%から15%に引き下げることにした。
また、半導体・医薬品など、将来的に関税が課される予定だった品目に対しても最恵国待遇(MFN)を約束した。
ただし、関税引き下げの適用時期は不透明な状況だ。
金長官は前日の国務会議で自動車関税に関連し、
「(合衆国に)法案が提出される月の01日から遡って発効するよう協議する」
と述べた。これを踏まえると、早ければ今月、遅くとも来月から適用されると予想される。
相互関税の遡及適用をめぐる問題はさらに複雑だ。
先に日本は合衆国側に対し「08月07日」を基準とする遡及返還を要求し、この要求が受け入れられた。
しかし韓国はまだ合意点を見出していないと伝えられている。
(後略)
『NEWSIS』の同記事によれば「今週」ということですので、あと2日しかありません。
「今、最終調整中」とのことで、だんだん「今やってます」「今出ましたから」という蕎麦屋の出前みたいな言い分です。
興味深いのは、25% ⇒ 15%に引き下げられるしても「日本のように遡及適用されるか?」が問題になっています。
読者の皆さまもご存じのとおり、日本の関税は――妥結したので遡って08月07日から15%になったとみなし、それまで余分にかかった関税負担分については還付しましょう※――となりました。
※2025年8月7日午前0時1分(合衆国東部時間)以降に日本から輸入されたものには、この新しい15%の関税ルールをさかのぼって適用する。払いすぎた関税の返金は、合衆国税関(CBP)の適用法令および標準的手続きに従って処理する――となっています。
しかし、韓国の場合は(これから)「法案が提出される月の01日から遡って発効するよう協議する」といっていますから――まだこの点について妥結してはいないのです。
とりあえず今週中にMOUが交わされるかどうか注目いたしましょう。
(吉田ハンチング@dcp)






