韓国「国家情報資源管理院」電算室火災から復旧やっと完了 ⇒ 3カ月もかかった。火災の背景に「異常レベルのずさんな管理・作業」

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2025年が終わろうしていますが、今年韓国で起こった事件の中で、『国家情報資源管理院』のサーバールム火災は大きなものでした。

2025年09月26日に発生した火災は韓国政府に大打撃を与えました。


↑2025年09月27日に金民錫(キム・ミンソク)国務総理(首相に相当)が火事現場を視察。サーバールームはご覧のとおり丸焼けです。

政府管轄の709の情報システムが被害を受け、火災発生からしばらくは韓国政府機関の出すプレスリリースですら閲覧できない――という事態となりました。

なにせ企画財政部のプレスリリースすら「blogの方で閲覧してください」みたいな状況だったのです。いつ復旧するんだよ――だったのですが、徐々に回復して……。

2025年12月30日、韓国の行政安全部がやっと「落ちた709のシステムがすべて復旧した」と宣言しました(以下はプレスリリース)。

一応全文和訳しますが、面倒くさい方は次の小見出しまで飛ばしてください。

国家情報資源管理院 709システム
全体復旧完了

- 危機警報「注意」段階解除および行政情報システム災害対応体制終了

□行政安全部(長官:ユン・ホジュン)は、国家情報資源管理院の火災により影響を受けた計709のシステムの復旧作業を終え、12月30日(火)09時30分をもってすべてのシステムが復旧したと明らかにした。

□行政安全部は、去る09月の火災発生以降、災害危機警報を直ちに発令し、「中央災難安全対策本部」から「危機状況対応本部」および「危機状況対応チーム」へと続く体系的な対応体制を稼働させ、システム復旧に総力を挙げてきた。

○特に、1等級システム40件を含め、国民の生命・安全と直結する主要システムを優先的に復旧し、国民の不便を最小化するため努力し、予備費を緊急投入して汎政府次元の迅速な災害収拾を牽引した。

□政府は、すべてのシステムが復旧したことに伴い、災害危機警報「注意」段階を解除し、行政情報システム災害対応体制を終了する。

○対応体制終了後も、システムを管理する各省庁を中心に所管システムを重点モニタリングし、問題発生時には関係機関間の協力体制を基盤として迅速に対応する計画である。

□今後、行政安全部は国家人工知能戦略委員会のAI政府インフラ・ガバナンス革新方策が策定され次第、公共情報化インフラの根本的な体質改善作業をスピード感をもって推進していく予定である。

特に、民間に比べて一部不十分であった公共データセンターの安全管理基準を強化し、災害状況で実際に作動できるように災害復旧体制(DR)を全方位的に改善する方針である。

□ユン・ホジュン長官は「日常の不便を甘受しながら政府対応に協力してくださった国民の皆さまと、昼夜を問わず復旧作業に邁進してくれた関係者の皆さんに、改めて深い感謝を申し上げる」と述べ、

○「今回のことを教訓として、政府は国家情報資源管理体制全般を根本的に改善し、安定性と信頼性を高めることにすべての力量を集中する」と語った。

以上

⇒参照・引用元:『韓国電子政府』公式サイト「국가정보자원관리원 709개 시스템 전체 복구 완료」

「異常なずさんさ」で発生した火災

この『国家情報管理院』の火災は、異常なほどのずさんさで発生したことが分かっています。まとめでおきましょう。

1) 電源を切らずに作業していた疑いがある
火災当時、リチウムイオンバッテリー移設作業中に、主電源は切られていたが、補助電源(UPS=無停電電源装置)側の電源が切られていなかった可能性があると警察が証言を得ています。

その結果、作業中に電源が供給されたままになり、発火につながった可能性が指摘されています。

2) 古く劣化したバッテリーの管理が不十分
火元となったUPS用のリチウムイオンバッテリーは、製造・納品から推奨使用期限(10年)を1年以上過ぎた古い装置でした。管理側が推奨寿命を超過したバッテリーを継続使用していた点が問題視されています。

3) バッテリーとサーバーを同一空間で運用していた
電算室(データセンターのサーバー室)で、UPSバッテリーとサーバーが同じ空間に設置されていたこと自体が危険でした。通常は分離すべき設備が混在していたのです。

これが火災発生のリスクを高めたと見られています。

4) バックアップ・冗長化が不十分
火災によるシステム停止の影響が極めて大きかった背景として、バッテリー火災でデータセンター全体のシステムが同時停止するような、リアルタイムの冗長化・フェイルオーバー機能が欠如していました。

これによって(取り返しがつかず)「失われたデータ」が発生しました。

別拠点への二重化は計画されていましたが、予算や体制の都合で実装が進捗していませんでした。

5) 災害対応・バックアップ体制そのものが脆弱
火災発生後、サーバー室の恒温・恒湿機能が停止し、データセンター全体の運用環境が崩壊したため、標準的な災害復旧や予備システムが実質的に機能しませんでした。

自動的に別のシステムへ切り替える冗長運用がなかったため、サービス停止が長期化しました。

火災が発生したのが2025年09月26日で、この完全復旧宣言が12月30日です。

結局復旧まで3カ月もかかりました。

上掲のような「ずさんな運用・作業」の結果です。

あと忘れてはいけないのは、本件に絡んで公務員が1人、自死されていることです。

『国家情報資源管理院』の火災後、システム復旧・対応の最前線にいた担当公務員が、強い精神的負担の中で自殺に至ったことが確認されています。

遺書の内容や警察発表の詳細は非公開とされていますが、複数の韓国メディアが――、

・火災後の復旧対応が極めて困難であったこと
・連日の超過勤務・事実上の無休状態
・世論・メディア・政治からの強い批判と圧力
・責任追及の集中

――と自死の原因を伝えています。

韓国はIT強国にして最高の電子政府などと誇っていますが、今回の火災で露呈したのは「実にいい加減な張り子の虎」だったという事実です。

(吉田ハンチング@dcp)

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