2026年01月26日、アメリカ合衆国のトランプ大統領が「韓国の関税を25%に引き上げる」という投稿をSNS『Truth Social(トゥルーソーシャル)』に行いました。
これは先にご紹介したとおりです。面白いのはこの背後にある動きです。
実は、トランプ大統領のSNS投稿の前に「関税を再度引き上げるぞ」という通告が政府に届いていたことが分かりました。
韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を引用するとこんな具合です。
(前略)
27日、関係省庁によると、ジェームズ・ヘラー駐韓米国大使代理名義のアメリカ合衆国側書簡が、今月13日に裵慶勳(ペ・ギョンフン)副首相兼科学技術情報通信部長官宛てに伝達されていたという。同報の宛先には、金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官、趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官、朱炳基(チュ・ビョンギ)公正取引委員長などが含まれていたと伝えられている。
当該書簡には、主にオンライン・プラットフォーム法など、デジタルサービス関連規制に関する懸念が盛り込まれていたと伝えられている。
(中略)
これは、昨年11月13日に韓米両国首脳が発表した共同ファクトシートにも含まれている内容である。
そこには、「米韓は、ネットワーク使用料、オンライン・プラットフォーム規制を含むデジタルサービス関連の法律および政策において、合衆国企業が差別を受けたり、不必要な障壁に直面したりしないよう保障することを約束する」という文言がある。
デジタル規制差別に関する内容が主に盛り込まれているが、事実上、対米投資など韓米間の貿易・投資合意の履行を促す事前警告ではなかったのか、との分析も出ている。
(後略)
Money1でもご紹介したとおり、韓国のAmazonともいわれる『Coupang(クーパン)』は、韓国政府から圧迫を受けており、合衆国では「合衆国企業に対する不当な差別である」と非難が高まっています。
韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんは、「クーパンをひどい目に遭わせてやる」と鼻息が荒かったのですが、どっこい合衆国は「合衆国企業を韓国政府による不当な扱いから守る」として逆襲しているのです。
これが政治的に大きな火種になっているのですが、ここに「関税を上げてやる」問題が浮上しました。
『朝鮮日報』は「事実上、対米投資など韓米間の貿易・投資合意の履行を促す事前警告」という分析を披露していますが、これはどうでしょうか。
しかし、クーパン問題が「対米投資が遅々として進まない現状」をあらためてクローズアップさせたとは考えられます。
一方の大統領府は、トランプ大統領の発言を受けてスクランブルがかかりました。
2026年01月27日、金容範(キム·ヨンボム)政策室長と魏聖洛(ウィ・ソンナク)国家安保室長が主宰する緊急対策会議が開催されました。
大統領府は以下のようにプレスリリースを出しています。
対米通商懸案会議開催に関する
姜由静(カン・ユジョン)報道官 書面ブリーフィング2026.01.27
青瓦台は01月27日(火)午前、金容範(キム・ヨンボム)政策室長、魏聖洛(ウィ・ソンナク)安保室長主宰の下、対米通商懸案会議を開催し、合衆国のドナルド・トランプ大統領による関税引き上げ発表に関連する状況を点検し、対応計画を協議した。
同会議には、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長、イ・ヒョンイル財政経済部第1次官、キム・ジナ外交部第2次官など、関係省庁の次官が出席し、青瓦台からはハ・ジュンギョン経済成長首席、オ・ヒョンジュ国家安保室第3次長、ハ・ジョンウAI未来企画首席など主要参謀も同席した。
特に、同会議には現在、戦略経済協力特使団としてカナダに滞在中の姜勳植(カン·フンシク)大統領秘書室長と金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官も、有線で参加しました。
この日の会議で出席者らは、関税交渉の後続措置として推進中の「米韓戦略的投資管理のための特別法案」の進行状況を点検した。
金正官(キム・ジョングァン)長官は、カナダ日程が終了次第、合衆国を訪問し、ラトニック商務長官と関連内容について協議することにし、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長も、近く米国を訪問し、グリアUSTR(米通商代表部)代表と協議することにしました。
関税引き上げは、連邦官報への掲載など行政措置があってこそ発効するものであるため、わが政府は関税合意の履行意思を合衆国側に伝える一方、冷静に対応していく計画です。
2026年1月27日
青瓦台報道官
姜由楨(カン・ユジョン)
またぞろ、金正官(キム・ジョングァン)長官と呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が渡米します。右往左往の始まりです
ご注目いただきたいのは、最後の「関税引き上げは、連邦官報への掲載など行政措置があってこそ発効するもの」です。
官報に出るまでは、まだ「関税が25%に上昇する」と決まったわけではない――と述べている箇所です。
トランプ大統領の怒りをなだめに政府閣僚が慌てて渡米します。例によって待ち受けているのは、食わせ者のラトニック商務長官です。
正直いえば、韓国政府は、02月中には出るといわれる「大統領が勝手に関税を上げ下げするのは法律違反だ」裁判の結末までは粘るつもりでしょう。
さあこのドタバタ劇はどうなるでしょうか。大変楽しみですね。
(吉田ハンチング@dcp)






