韓国の航空会社は資金難でどこも瀕死の状態です。航空業界では政府の支援を求めています。
先の記事でご紹介したとおり、韓国政府は業界第1位の『大韓航空』、第2位の『アシアナ航空』には合せて「3.3兆ウォン」規模の追加支援を行うことを決定しました。
しかし、LCC(格安航空会社)には02月17日に決定された「まとめて3,000億ウォン」の後、追加支援については何も触れてきませんでした。これだけでなんとかしろ、というわけです。
2020年04月29日になってやっとLCCを支援するかも、という動きが出ました。『中央日報』の同日の記事「政府、LCCに3000億別途追加サポート検討…『雇用の安定を最優先』」から引用します。
(前略)
国土交通部は29日、孫明秀(ソン・ミョンス)第2次官の主宰で大韓航空をはじめ、アシアナ航空、チェジュ航空など航空会社9社と韓国空港公社、仁川(インチョン)空港公社社長団懇談会でこうした案を説明した。孫次官は「これまで格安航空会社のチェジュ航空、ジンエアー、ティーウェイ航空などに3,000億ウォンの範囲内で融資支援を実行しており、必要な時には追加資金支援も検討することにした」と話した。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報』「政府、LCCに3000億別途追加サポート検討…『雇用の安定を最優先』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
これまでにLCCに支援したお金の内訳は、
エアソウルとエアプサン:544億ウォン
ジンエアー:300億ウォン
チェジュ航空:400億ウォン
ティーウェイ航空:60億ウォン
小計:1,304億ウォン
とのこと。残り1,700億ウォンの融資は実行されていませんし、恐らく実行されてもそれでは足りません。政府の動きの遅さに対して、LCCからはかねてより政府を非難する声が挙がっています。
『ChosunBiz』の記事から以下に引用します。
(前略)
先に約束した「3,000億ウォン支援案」の執行が遅々として進まない状況で、大手航空会社を対象とした大規模な支援策が出ている。LCCの間からは「コロナ事態で大変なのは同じなのに支援には差別がある」という批判が出ている。
政府がLCCのサポートを発表してから2カ月が過ぎたが、現在までに執行された金額は、済州航空とエア釜山、ティーウェイ航空、ジンエアー、エアソウルなど投入された1,260億ウォンに過ぎないからである。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
また、このようなLCCに対する支援の薄さから同記事は以下のように結んでいます。
(前略)
匿名を要求したLCCの関係者も「結局、供給過剰である航空会社の構造調整が必要だという政府の意図が込められたサポートにしか見えない」。「産業銀行も全ての航空会社をサポートすることは難しいという立場だ。結局、産業構造の調整は避けられないと見て、対応を準備中」と述べた。
つまり、この新型コロナウイルス騒動を契機として、政府は業界の構造調整を行うつもりというわけです。立ちゆかない会社には退場してもらい、合併などで適正なサイズにする、と。
やっと「追加支援」を行うかも……という姿勢を見せた韓国政府ですが、どこまで本気なのかは注視する必要があるでしょう。
先にご紹介したとおり、韓国にはLCCが9社もあります。人口が「5,184万人」の韓国にこの数は過剰です。しかし、政府が「調整が必要」という方針であれば、遠からずLCCのどこかが破綻する可能性が高いということです。
(柏ケミカル@dcp)