先に、中国のLCD製造業の父といわれる王東升『ESWIN』会長に、韓国「中国サムスン」の社長を務めた張元基(チャン・ウォンギ)さんが引き抜かれた件についてご紹介しました。
元「サムスン電子」役員が「中国の半導体製造企業」へ入社! その舞台裏とは?
2020年06月11日、『サムスン電子』の役員だった人物が、中国企業『ESWIN』に引き抜かれたことが韓国メディアで報道されました。引き抜いたのは辣腕で知られる王東升会長『ESWIN』は液晶ディスプレー用チップなどの半導体・シリコンウェハの...
張さんは、新たに設立された『イーシーウェイテクノロジーグループ有限会社』の副会長に就任したのですが、この件が韓国で報道されると「中国企業に『サムスン電子』の技術が流出する」と韓国内で批判が巻き起こりました。
そのためか、張さんは同社を退職したとのこと。
張さんはサムスン電子に40年勤務し、その間ディスプレー関連畑を歩き続けて社長まで務めた人ですが、現場を去ったのは随分前のこと。
「最先端技術のノウハウを熟知しているわけではないから、技術流出は杞憂に過ぎない。職業の選択は個人の自由じゃないか」と擁護の声もありました。
しかし、例えば退職を伝える『韓国日報』の記事タイトルには「論難」とありますから、張さん自身には韓国内の批判が相当こたえたようです。
同記事から張さんの言葉を以下に引用します。
(前略)
張前社長は退職後、「実家」であるサムスン電子に「不必要な誤解を起こし、後輩たちに迷惑を及ぼすことを恐れて心配になった」と立場を伝えたという。
(中略)
「まだ韓国社会は開放的ではない。それでも私の話が知られ、何か「変化」を与えるきっかけになったようだ」と話した。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
韓国はサムスンが支えているといわれますので、「中国サムスン」の社長まで務めた人材が中国企業に就職するといえば騒然となるのは当然でしょう。しかし、張さんにとってはせっかく「さあ人生の第二幕だ!」と張り切っていたのに残念な結果となりました。
(吉田ハンチング@dcp)