何度かご紹介していますが、韓国の文在寅大統領は「クリーンエネルギー政策」を推進しており、太陽光発電施設の建設にも注力しています。
「太陽光パネル」(ソーラーパネル)を敷き詰めて発電する――というやつですが、この発電用大型パネルをほとんど中国から輸入しているのです。
ソーラーパネルは「太陽電池から成るセル」を数十枚並べたもので、モジュールと呼ばれることもあります。
『韓国貿易協会』のデータによると、2020年上半期には、
中国産「ソーラーパネル」の輸入額:1億6,954万ドル
となっており、韓国が輸入したソーラーパネルの「98.4%」が中国産です。
韓国でもソーラーパネルは作れるのですが輸出額は以下のとおりです。
韓国産「ソーラーパネル」の輸出額:107.9万ドル
(対中国輸出額)
対中国の「ソーラーパネル」の収支だけ見ると「1億6,846万ドル」の大赤字です。
「半導体輸出国」なんじゃないの?
さらに面白いのは、肝心の「太陽電池を作るための素材」も完全に中国に依存しているのです。
この件を報じた韓国メディア『毎日経済』の2020年07月18日の記事から以下に引用します。
『輸出入銀行』は、「第1四半期の太陽光発電産業の動向報告書」で、「ポリシリコン、インゴット(シリコン柱)とウエハなど、太陽光産業の素材分野は完全に中国に依存している状況が発生した」とし「中国ウエハ供給停止時、私たちの太陽電池とモジュールの生産は不可能である」と指摘した。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「韓国新再生エネルギー市場開かれる中国産太陽電池モジュールの輸入も急増」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
太陽光発電について造詣の深い方なら、「えっ!韓国って半導体輸出国なのに太陽電池の素材が作れないの?」と驚かれるかもしれません。
発電※1を行う「太陽電池」は半導体でできているからです。特にシリコン系の太陽電池は広く使われています。
「韓国は素材・部品・機器は海外にほとんど依存している」という――どこかで聞いたような話が、太陽電池についても当てはまるわけです。
「対日依存はダメ」で「対中依存はOKなのか」という面白い状況です。
「グリーンニューディール」という政策を掲げた文政権ですが、「中国企業が大もうけしておしまい」なんて結果にならないでしょうか。
※1
面倒くさい方は飛ばしていただいて大丈夫ですが、太陽電池は「光電効果」を用いて電気を作ります。光電効果とは、物質に光が当たると電子が飛び出るという現象のことです。この飛び出た電子をとどめておかないといけないわけですが、半導体を用いるとプラスとマイナス極に分離させて電流を発生させることが可能なのです。
(吉田ハンチング@dcp)