2020年08月13日、『韓国銀行』から「2020年7月 国際金融・為替市場の動向」という資料が公開されました。この中に、外国人投資家の資金が、韓国の株式・債券にどのように投入されたか(どのように流出したか)のデータがあります。今回は、資金が流入すればいいわけじゃない、という話です。
株式市場では「07月にセルコリアは止まった」ように見える
以下は、『韓国銀行』の資料から「2020年03-07月の外国人投資資金」の部分を引用したものです。
03月 | 04月 | 05月 | 06月 | 07月 | |
株式 | ▲110.4億ドル | ▲43.2億ドル | ▲32.7億ドル | ▲4.4億ドル | 13.9億ドル |
債券 | 36.6億ドル | 58.2億ドル | 21.0億ドル | 29.2億ドル | 30.1億ドル |
小計 | ▲73.7億ドル | 15.0億ドル | ▲11.7億ドル | 24.8億ドル | 43.9億ドル |
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2020年7月 国際金融・為替市場の動向」
上掲のとおり、外国人の投資資金は韓国株式市場で、03-06月まではマイナス、つまり「流出」を続けますが、07月にやっと「13.9億ドル」のプラス(つまり流入)に転じました。
先にご紹介したとおり、この黒転(黒字転換)は韓国メディアでは「外国人投資家が帰ってきた」と報じられました。やっとセルコリア(韓国売り)が終わったか、というわけです。本当に終わったのかどうかは08月の結果を待ってみた方がよいかも……というところですが。
債券の方を見ると、こちらはずっと黒字で来ています。つまり、外国人投資家は債券にお金を投じており、韓国に資金が流入し続けているわけです。その額が……ここが面白い点です。
いや、それは「借金」じゃないの?
ここまでの外国人の投資資金の流入・流出状況を年次で比較すると以下のようになります。ただし、2020年は01~07月の数字です。
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
株式 | ▲56.6億ドル | 20.0億ドル | ▲199.7億ドル |
債券 | 139.1億ドル | 81.6億ドル | 218.9億ドル |
小計 | 82.5億ドル | 101.6億ドル | 19.2億ドル |
2020年(01~07月の累計)は、外国人投資家の資金は株式で「199.7億ドルの流出」、債券で「218.9億ドルの流入」です。差し引き「19.2億ドル」のプラス(このプラスは韓国の受け取り、つまり資金流入)。
韓国メディアの中には「外国人が大量に債券を買っている」となにか喜んでいるような記事も散見しますが、いや、「債券」ですからね。
確かに外国人が韓国にお金を突っ込んでいること(資金流入)になりますが、「定期的に利子を払って、満期が来たら償還(元本を返す)」しないといけないのです。
つまり、外国人に債券を売るというのは、煎じ詰めれば「外国人に借金をしていること」です。しかも、2018年「139.1億ドル」、2019年「81.6億ドル」だったのに、2020年の07月までですでに「218.9億ドル」になっています。
「どんだけ外国人に対する借金を増やすんだ」と思わないといけないのではないでしょうか。
ロールオーバー(借り換え)ができず、償還に失敗したら(元本を返せないという事態になったら)デフォルトです。債券を売って外国人の資金を流入させることは、デフォルトの可能性を自分で高めていると見ることだってできるのです。
喜んでいる場合じゃないのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)