燃料電池トラックメーカーとしてアメリカ合衆国のナスダック市場に上場した『Nikola Motors(ニコラ・モータース)』が、詐欺案件だと告発された件の続きです。
告発した『ヒンデンブルグ・リサーチ』(Hindenburg Research)は「『Nikola』の創業者兼会長のトラビス・ミルトン(Trevor Milton)による重大な虚偽の陳述とその証拠」のリポートを2020年09月10日に公開しました。
これによって『Nikola』の株価は暴落。現在も回復していません。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用)。
『Nikola』は14日に反論を公開したが……
『Nikola』側は2020年09月14日、「Nikola Sets the Record Straight on False and Misleading Short Seller Report」(空売り屋のリポートの誤りや誤解を正す)を公表。
しかし、『ヒンデンブルグ・リサーチ』は、10日に公開したリポートに付いていた53の質問に、『Nikola』は1つ1つ反論すると約束したのに10しか回答しなかった、としています。
そのため、『ヒンデンブルグ・リサーチ』は、2020年09月15日、「我々は『ニコラ』の対応を証券取引法違反を認めたと見なす」という声明をサイトに出しました。
合衆国の証券取引委員会が調査に乗り出す構えを見せ始めたからです。
「動いている」であって「自力走行している」とは言っていない!
興味深いのは、『Nikola』が「ニコラワン・イン・モーション」というビデオを公開して自社のトラックの走行動画を見せたのですが、
という告発です。
↑問題の動画。自力走行しているように見えますが実はずっと向こうの坂から下ってきただけでした。YouTubeのスクリーンキャプチャーです
⇒引用元:『YouTube』「Nikola Motor Company – Nikola One Electric Semi Truck in Motion」
『Nikola』は10日の反論で、「動いている」という表現を使っているのであって、「自力走行している」とは言っていないとしています。
『ヒンデンブルグ・リサーチ』はこれついて以下のように断じています。
月曜日の反論で、『Nikola』はその車両が自力で走行しておらず、単に重力の力を見せているだけであることを認めた。
しかし、「動いている」という用語を使用しており、ビデオには不正な性質はないと主張しています。
私たちは同意しません。
同社は常識を超えて、ビデオの説明でニコラワンを「1,000HP ゼロエミッション ニコラワンセミトラック」と呼んでいました。
それ自体に動力がない場合、トラックは1,000馬力どころか1馬力だって出すことができないのは明らかです。
⇒参照・引用元:『ヒンデンブルグ・リサーチ』公式サイト「We View Nikola’s Response As a Tacit Admission of Securities Fraud」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
実際に証券取引委員会なりナスダックが調査に動いた場合、果たして結果はどのようになるでしょうか?
しかし、株価が戻らないということは、少なくとも市場は「この企業の言っていることはウソなんじゃないのか」と疑っているからでしょう。
(柏ケミカル@dcp)