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空売り集団『ヒンデンブルグ・リサーチ』がまた電気自動車メーカーを撃沈

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「法医学的な金融研究を専門にしている」と称するアメリカ合衆国の空売り集団『ヒンデンブルグ・リサーチ』(Hindenburg Research)がまた新たな詐欺案件と思われる電気自動車メーカーを指摘しました。

ターゲットになったのは、電気自動車を製造している合衆国『Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)』です。

『ローズタウン・モータース』とは?

まず『ローズタウン・モータース』とはどんな企業なのでしょうか?

以下のような電気自動車(ピックアップトラック)を開発・製造するメーカーで、簡単にいえばたくさんある「テスラ・ワナビー」企業の一つです。

この電気自動車が画期的なのは、以下のように、4つの車輪の中にモーターが組み込まれており、これが電気信号によって制御されるため、従来の電気自動車に比べて極端に内部構造がシンプルで済むことです。


↑『ローズタウン・モータース』のホームページでは、世界初の全電化インホイールドライブシステムと紹介しています

同社では、モーターがホイール内に組み込まれたものを「ハブモーター」(Hub Motor)と呼んでいます。


↑『ローズタウン・モータース』のホームページにある「ハブモーター」の説明

このハブモーターのおかげで以下のように『ローズタウン・モータース』の電気自動車は部品点数がほとんどなくて済むのです。

左がこれまでの一般的な自動車で稼働パーツは何千にも及びますが、右の『ローズタウン・モータース』の電気自動車ではわずか4つだというのです。

この革新的なコンセプトで『ローズタウン・モータース』の電気自動車は大変に注目を集め、創設者でもあるSteve Burns(スティーブ・バーンズ)CEOは発売前に事前予約がすでに10万台あると需要の高さをアピールしています。

以下はYouTubeに上がっている「Ride With Lordstown」(ローズタウンに乗ってこうよ)という同社の動画です。

なかなか格好いい動画ですのでご興味がある方はぜひ見てみてください。

『ローズタウン・モータース』は「SPACを用いてすでにNASDAQに上場しています。

そのため『ヒンデンブルグ・リサーチ』が動いたのです。

『ヒンデンブルグ・リサーチ』が次々と指摘!

先に、『ヒンデンブルグ・リサーチ』が水素トラックの『Nikola(ニコラ)』を詐欺案件だ――と指摘した際に触れましたが、この空売り集団は恐るべき調査能力を持っています。

今回の『ヒンデンブルグ・リサーチ』のデューデリジェンスも微に入り細に入り、『ローズタウン・モータース』のおかしな点を挙げています。リポート冒頭の項目だけで16に及びます。

しかし最大の注目ポイントは、『ローズタウン・モータース』が事前予約10万台と称しているものが全くの幻だった点です。

その予約というのは実際に購入する意思がなくても行え、また解約できないなどの拘束力もないものに過ぎなかったのです。圧巻は、『ヒンデンブルグ・リサーチ』はその予約者に一つずつ当たり、例えば以下のような証言を引き出していることです。

『Climb2Glory』を通じて40台のトラックを購入することを約束したある企業の担当者は、私たち(『ヒンデンブルグ・リサーチ』:筆者注)にこう言いました。

「……何かを約束したわけではありません、1台の車を買うわけでもありません。私は車の購入を検討することは約束しました。実際に契約する前には、たくさんの質問をすることになるでしょう」

またリポートには以下のようにも。

ラベンナ市の担当者は、予約注文について「あの量(15台)の約束はまったく不可能だ」と語った。

他にも、実際に購入する意思のないお客さま」が多数いることが分かっています。

つまり、10万台の予約は実際には全く確定したものではなかったのです。この点は、投資家にうその実績を語ったことになりかねず、すでに『SEC』(合衆国証券取引委員会)が真偽確認に動き出しています。

挙げればきりがないのですが、『ヒンデンブルグ・リサーチ』はバーンズCEOについても適正・公正な人物なのかどうかについて疑問を呈しているのです。

実際に元従業員に当たり、以下のようにリポートに書いています。

『ローズタウン・モータース』の創業者兼CEOであるスティーブ・バーンズと一緒に働いたことのある複数の元幹部社員は、彼のことを「詐欺師」や「P・T・バーナム」のような人物だと公言している。

P・T・バーナムというのは、映画『グレイテスト・ショーマン』主人公のモデルとなった希代の興行師。つまり、バーンズCEOは巧妙な宣伝を操る興行師のようだといっているのです(ちなみに本当のバーナムは映画で描かれたような人物ではなかった)。

さらに興味深いのは次の2点の指摘です。

また、元従業員は、寒冷地試験、耐久性試験、NHTSAが要求するFMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards)試験など、同社に必要とされる試験や検証が何も完了していないと話しています。

2021年1月、『ローズタウン・モータース』が初めて行った路上走行テストでは、テスト走行開始から10分後に車両が炎上しました

私たちは、情報公開請求によって入手した911コールと警察報告書のコピーを共有しています。

実際に自動車を販売するのに必要なテストを何一つ完了していないの上に、初めての路上テスト開始10分後に車両が炎上したというのです。

『ヒンデンブルグ・リサーチ』が狙い撃つ!

『ヒンデンブルグ・リサーチ』の詳細なリポートは記事末にあるURLから飛べますので、ぜひそちらを参照してください。非常に面白い内容です。

で、『ヒンデンブルグ・リサーチ』のリポートの結論と、『ローズタウン・モータース』の株価推移は以下のようになっています。

広範な調査の結果、当社は『ローズタウン・モータース』の株式をショートポジションで保有している。

このレポートは我々の意見を示すものであり、読者の皆さまにはご自身でデューデリジェンスを行うことをお勧めします。

一時「30ドル」を超えていた『ローズタウン・モータース』の株価は今や「9.47ドル」ほどしかありません。1/3未満になってしまったのです。

『ヒンデンブルグ・リサーチ』のショートポジションは大きな利益を上げたでしょう。空売り集団『ヒンデンブルグ・リサーチ』恐るべし。

⇒参照・引用元:『ヒンデンブルグ・リサーチ』公式サイト「The Lordstown Motors Mirage: Fake Orders, Undisclosed Production Hurdles, And A Prototype Inferno」

「SPAC」(迂回上場といわれる)については以下の記事を参照してください

「SPAC」とは? 空箱を上場して中身は後で買う
「SPAC(スパック)」とは「SpecialPurposeAcquisitionCompany」の略で、日本語では「特別買収目的会社」と訳されます。企業を買収するために作られるペーパーカンパニーです。事業の中身はありません。そのため「空箱」...

記事内で使用している写真は全て『ローズタウン・モータース』の公式サイトで公開されているものから引用しました。

(柏ケミカル@dcp)

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