08月06日『Bloomberg』に掲載された記事の中に面白い表現が登場しましたのでご紹介します(引用元は当記事末を参照)。
CLSAのストラテジストであるニコラス・スミス(Nicholas Smith)さんは、
「中国と米国がお互いの国の窓にれんがを投げつけたら、双方にガラスを売る国が利益を得ることになる。それが日本だ」
と指摘したそうです。この例えが合っているかどうかはともかく、アメリカ・中国の双方にガラスを売りに行く姿を思い浮かべると、いかにもユーモラスですね。
アメリカ・中国の貿易戦争は静かに激化する一方で収まる気配は見えていません。水面下での交渉も捗らないようで、制裁関税・報復関税の応酬は続いています。ここまでの流れを一応まとめてみます。
■アメリカ・中国 お互いの窓にレンガを投げる合戦
●2018年07月06日
・アメリカ、中国からの輸入品目約340億ドル相当に25%の関税を賦課:発動済
・中国、アメリカからの輸入品目約340億ドル相当に25%の関税を賦課:発動済
1.アメリカ、上記の第2弾(Second Set)約160億ドル相当に25%の関税を賦課
アメリカ国内の法的なプロセスが完了次第、発動の予定
※追記:08月07日、アメリカ政府は08月23日に発動と発表
2.中国、アメリカの上記の措置に対し、
同等の約160億ドル相当に25%の関税を賦課する措置を準備
アメリカが発動次第、中国も発動の予定
3.アメリカ、上記の中国の対抗措置「2」が発動した場合には、
追加で中国からの約2,000億ドル相当の輸入品目に10%の関税を賦課
すでに関税を賦課する輸入品目については公表済
2018年09月以降に発動の予定
4.アメリカ、中国が「3」と同等の措置を講じた場合、
さらに追加で中国からの約3,000億ドル相当の輸入品目について
関税を賦課する可能性を示唆
5.アメリカ・トランプ大統領は、
上記「3」の約2,000億ドル相当の輸入品目に賦課する関税の税率を
「10%」から「25%」に上げる可能性も示唆
6.中国、アメリカからの約600億ドル相当の輸入品目に25%の関税を賦課することを示唆
07月06日の制裁関税・報復関税はすでに発動されていますが、上記の「1-6」はまだ準備中で発動されていません。ただし「1」「2」は、07月06日の続きですので、アメリカが「1」を発動したら、中国もすぐに「2」を撃ち返すでしょう。
仮に「3」と「4」が発動すると、アメリカは中国からの輸入品目全てに関税を賦課する(制裁関税を課す)ことになります。というのは、2017年の統計によれば、アメリカが中国から輸入している金額は「5,260億ドル」だからです。
・Fist Set:340億ドル
・Second Set:160億ドル
・上記「3」:2,000億ドル
・上記「4」:3,000億ドル
小計:5,500億ドル
ですので、現在表明されている中国への制裁関税が全て実行されると、中国からの輸入品目根こそぎを対象とすることになるのです。
⇒引用元:『Bloomberg』「アジア首位復帰、日本株への関心高まる公算-日銀や企業業績が支え」https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-05/PCZSN06JIJUP01
(柏ケミカル@dcp)