世界最大のファウンドリー(半導体受注生産)企業の台湾『TSMC』(Taiwan Semiconductor Manufacturing Companyの略:台湾積体電路製造)が日本、アメリカ合衆国と蜜月な関係を築き、そのため韓国『サムスン電子』の地位が危うくなるのではないか――と韓国メディアが焦りをにじませた記事を出しています。
「超格差戦略」を使う『TSMC』?自意識過剰では?
面白いのは、『マネートゥデイ』の記事で「これまで『サムスン電子』がとってきた「超格差戦略」を『TSMC』が採用しており、『サムスン電子』は当惑している」と報じています。
⇒参照・引用元:『マネートゥデイ』「『サムスンの超格差にサムスンがあう』…『日米蜜月』TSMCの逆襲」
聞き慣れない言葉ですが、「超格差戦略」というのは、後発企業ができないくらいの投資を行って技術力とシェアをどんどん広げていくこと、だそうです。
『サムスン電子』がそのような戦略をとってきたかどうか甚だ疑問ですし、自意識過剰ではないのかと思わないでもないですが、確かに『TSMC』はアメリカ合衆国前トランプ政権の末期から、合衆国市場のみならず、台湾国内、日本に生産拠点の拡大を行うことを表明しています。莫大な投資です。
日本については、茨城県つくば市に半導体の研究開発し施設を建設することが先に報じられました。
これに対して、『サムスン電子』は先に報じられた合衆国に新設する工場が結局どうなったのかいまだ発表もありません。同社の総帥を拘置所に送ったりするからじゃないのかと思わされますが、この点も韓国メディアをやきもきさせているようです。
『TSMC』は『サムスン電子』より利益率が高い!
『TSMC』は非常に優秀な企業で、『サムスン電子』よりも利益率が高いのです。例えば、2021年第1四半期の業績を比較すると以下のようになります。
『TSMC』 | 『サムスン電子』 | |
総売上 | 129.0億ドル | 169.0億ドル |
営業利益 | 53.6億ドル | 30.2億ドル |
※『サムスン電子』は半導体事業のみ
『TSMC』は『サムスン電子』と比較すると、売上は40億ドルも少ないのに営業利益は
23億ドルも多いのです。営業利益率は約41.6%にもなります。もうかりすぎだろというぐらい利益を上げています。
このような利益があるからこそ莫大な投資も行えるわけです。
ただし、『サムスン電子』の名誉のために付記しますが、『サムスン電子』(半導体事業)の営業利益率も約17.9%もありますので通常の会社からすれば非常に大きいです。相手が『TSMC』というモンスターなので小さく見えるのです。
半導体の旗色が悪くなるとまずいので……
『サムスン電子』はシステム半導体の分野が弱いので、とりあえずメモリー半導体で頑張るしかなく、ここで旗色が悪くなりだすとまずいのです。また、半導体がずっこけると依存しているぶんだけ韓国の輸出が悪くなり、韓国経済の屋台骨が揺らぎます。
そのため、韓国メディアに焦りに満ちた記事が出るのです。
(吉田ハンチング@dcp)