2021年06月20日は暗号資産にとって記念日になりました。中国四川省のマイニング鉱山が火を落としました。というか電力が強制的に落とされました。
電気を止められたらおしまい
四川省は「四川省発展改革委員会 四川省エネルギー局による仮想通貨『マイニング』プロジェクトの浄化と停止に関する通知」という文書で、マイニングについては、、四川省の関連電力会社が06月20日までにスクリーニングを行って、停止作業を行う――としたからです。
暗号資産のマイニングといえば中国。中国ではマイニングのためにグラボを大量投入したファームを作るほど盛んだったのですが、莫大な電力を消費するため、そもそも電気代が安いところの勝ちです。
先にご紹介したとおり、当局が完全に暗号資産を締め出しにかかっていますので、マイニングも取り締まりの対象となっています。電気会社は異常に電気代がかさんでいるところをピックアップして確認し、電気を止めちゃえばいいわけです。
文書には、
キーとなるのはスクリーニングとシャットダウンの完了である。
地方の電力会社は、06月20日までにスクリーニングとシャットダウンを完了するために、疑わしい26の「マイニング」プロジェクトを報告している。
(後略)
とあります。大規模な鉱山ファームが26もあったようです。
「さようなら!」一つの時代が終わった
多くの鉱夫の皆さんが採掘作業から去ったようで、中国メディアには少し切ない記述もあります。以下に一部を引用します。
(前略)
鉱夫のAさんは「一つの時代が終わった。さようなら! 風が強く吹いているのはいいが、月が出ていない。冷たい氷は流れる水を壊すことはできず、枯れ木は再び春を迎える」と書いた。
(後略)清风虽细难吹我
明月何尝不照人
寒冰不能断流水
枯木也会再逢春
さすが中国の方です。清代の詩人、吕留良の漢詩を引いて採掘仲間に別れを告げています。「今はお別れだけど、またいつか季節が巡り春が来たら会いましょう」としている点がとても心に響きます。
中国政府の方針かもしれませんが、少し寂しい気持ちになるのは事実です。
そもそも暗号資産の祖たるビットコインは、一般の人が互いに参照し合うことで信頼性を担保し、中央政府の規制、グローバルな規制から逃れて自由に取引できるという思想を根本に持っていたはずです。だからこそ政府や中央銀行、国際機関が反対するのですが。
こうして実際に政府機関につぶされる姿を見せられると、何か負けたような気になります。
四川省には、中国最大、世界最大のマイニング事業者がいるといわれてきしたが、この四川省の停止によってビットコインネットワークの平均演算能力は急激に低下しています。過去最高を記録したのは05月13日の「197.61EH/s」でしたが、19日23:11頃には34%も低くなっていました。
本日が終わるとさらに低くなるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)