日本の小泉議員にとっては参考になるであろう結果が韓国で出ています。
韓国の文在寅大統領は「クリーンエネルギー政策」の旗振り役を務めてきましたが、本政策は地方行政レベルでも推進されています。
朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長はその在任期間中、同様の政策を進めていました。その目玉となったのが2014年に開始した、住宅への太陽光発電パネルの設置です。2014年に始めていますから、文在寅さんよりも筋金入りの人だったといえるかもしれません。
スロ-ガンは「原発を1基減らす」でした。
ソウル市の100万世帯の住宅に太陽光パネルを設置する事業を推進し、それでもって原発1基分の電力を賄(まかな)うというものでした。
結果は……ひどいことになった
2020年末時点での結果は以下のようになりました。
原発1基のエネルギー生産量:2,000,000 TOE
※TOEは「tonne of oil equivalent」の略で「石油換算トン」と訳されます。
1トンの石油を燃焼させたときに得られるエネルギー量が「1 TOE」
ここまで7年かかったのですが非常に低調な結果です。また実際に太陽光発電パネルを設置したのは、32万3,909世帯で目標100万のほぼ1/3で、エネルギー生産量は原発1基分どころか、その「約2.3%」に過ぎません。
始めたときの予算総額は680億ウォン(約66.0億円)でしたが、ここまですでに592億ウォン(約57.4円)が投じられました。
予算の約87.1%が執行されてインストールが目標のほぼ1/3(約32.4%)、エネルギー生産量が目標の「約2.3%」ですから、この事業は無理です。目標は決して達成できません。
朴前市長が亡くなったために行われた補欠市長選挙で、野党『国民の力』の呉世勲(オ・セフン)市長が誕生しています。結果が結果ですし、事業が継続することはないと思われます。
本件を報じた『ChosunBiz』では以下のように書いています。
(前略)
ソウル市は来年度のミニ太陽光事業の出口戦略を模索している。ソウル市の関係者は、「来年は事業を継続するのは難しいという意見が多数」と明らかにし、「今後、燃料電池を含む再生可能エネルギー全体を包括する方向にエネルギー政策を拡大改編することを検討している」と述べた。
(後略)⇒参照・引用元:『ChosunBiz』「[단독] 10년 돌려 원전 일주일분 전기 만든 박원순표 태양광」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
きちんと計算を行った事業計画を立てないとこのようなことになります。
(吉田ハンチング@dcp)