韓国ではワクチン確保が重要な政治課題になっています。予定どおりにワクチン接種がうまく進まないため国民の怒りも大きくなって、文在寅政権の支持率にも影響を与えるため、韓国政府はなだめるのに必死です。
韓国政府代表団の抗議も『モデルナ』はゼロ回答
先に『Moderna(モデルナ)』は、韓国に予定量850万Shot分の半分しか到着しないと通知しましたが、これを発表した韓国政府に国民からの非難が殺到しました。
そのため、2021年08月13日、韓国政府は急きょ代表団を『モデルナ』本社に送り込み、17日には「モデルナ社から謝罪を受け、08~09月の供給拡大に最善を尽くすとの意向を明らかにした」――と公表しました。
しかし、各種韓国メディアの報道を見る限り、(謝罪したかどうかも含めて)『モデルナ』からは事実上のゼロ回答です。
というのは、韓国メディアの報道では以下のようになっていつるからです。
(前略)
姜次官は面談後、「韓国政府は遺憾の意を表明し、モデルナは謝罪の意を表明した。より多くの量の新型コロナウイルスワクチンがより速く供給されることを要請し、モデルナは最善の努力を尽くすことにした」と明らかにした。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「「モデルナ供給支障」米国に抗議に行った韓国代表団「謝罪受けた、最善尽くしてくれるという」
最善を尽くす、としただけで、韓国が要請した「供給の前倒し」「韓国の製造ラインを使用するワクチンを韓国で優先的に使うこと」については一切の言質を与えていません。
(当然のことかもしれませんが)上掲の『モデルナ』公式サイトは、本件についてのプレスリリース、ステートメントも一切発表していません。
この『モデルナ』との契約について「いつ・どのくらいの量が供給されるのか」について明記されたものではなかった――と韓国メディア『朝鮮日報』が突っ込んでいます。
いつ、どのくらいの量供給するかは未定
朝鮮日報の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
中央事故収拾本部のチョン・ウンヨン・ワクチン導入事務局長は17日、「製薬会社(モデルナ)との契約で年内の導入量(4000万回分)は明示されているが、月別、四半期別の具体的な供給日程は通常協議を通じて決めている」と説明した。モデルナが7-9月に韓国に供給するとしていた量を10-12月に一度に供給しても「契約違反」とは言えないことになる。
チョン事務局長は「月別、四半期別の具体的な供給日程は継続的に協議している」とし、契約書に月別、四半期別の供給日程は書かれていないことを改めて認めた。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報(日本語版)』「韓国向けモデルナワクチンの『屈辱的契約』、月別・四半期別の供給計画もなかった」
契約書に「年内の供給量は4,000万Shoto分」とは書かれているが、「月別、四半期別の供給日程は書かれていない」ことを「屈辱的」と書いています。
というのは、合衆国との契約書に供給日程・供給量が書かれており、合衆国では契約書も一部公開しているからです。EUと『アストラゼネカ』との契約でも月別の供給量が記載されているというのに、わが政府はなんだ――というわけです。
悔しいかもしれませんが、そもそも韓国政府がワクチン確保に乗りだすのが遅く(「K-防疫」を誇っていたせいです)、後回しにされるのは致し方ありません。
生産量に限りがあるのですから、申し込んだ順番に処理していくわけで、『モデルナ』に落ち度はないでしょう。
また、供給日程など契約書に明記していないことを『モデルナ』が守る義務はなく、つまり『モデルナ』は謝罪する要素がひとつもないのですが、本当に同社は謝罪などしたのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)