以前にご紹介したことがあるのですが、韓国では太陽光発電施設の普及を推進しているのに、その発電施設の多くが送電網に接続されていない、という信じられない状況が続いています。
先にこの件をご紹介したのは、2020年09月のことでした(以下記事)。
この記事では韓国メディア『ソウル経済』の集計を基に「14.4GW分の太陽光発電施設のうち約1/3強4.2GW分が送電網に接続されておらず、無駄になっている」とご紹介しました。
あれから約1年たって、今度は『毎日経済』が同様の無駄になっている太陽光発電施設について紹介する記事を出しました(2021年09月02日付け)。
果たして事態は好転したでしょうか? 記事の一部を以下に引用します。
(前略)
02日、ヤン・グムフイ『国民の力』議員が『韓国電力』から入手した「再生可能エネルギーの接続進行現況」によると、07月までに16.34GW規模の申請リクエストの中から接続が完了したのは、10.39GWにとどまることが分かった。接続されていない電力は、『韓国電力』が送電網、変電所などの電力流通インフラをいまだ構築できないために発生する。
虚しく無駄になった6GWの電力は、原子力発電で言えば、原発6基が1日に生産する電力量であり、電気自動車12万台を完全に充電させることができる。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
事態は全然好転していません。韓国政府が太陽光発電施設の増設に動いていますが、その分、送電網に接続できないため、無駄になっている電力量は「4.2GW」から「6GW」とむしろ増えているのです。
注目すべきは以下のくだりです。
(前略)
『韓国電力』側は、現在の接続待機の問題を解決するためには、追加で5,500億ウォン以上の費用が必要であると見込んでいる。まず、配電線の新設のみで2,380億ウォンが必要とし、変電所を建てるためにも2,800億ウォン以上を投入しなければならない。
この費用も新規申請者が増えるにつれ、さらに増えると予想される。
(後略)※引用元は同上
送電網の新設で2,380億ウォン(約226億円)、変電所の新設で2,800億ウォン(約266億円)以上、合わせて少なくとも5,500億ウォン(約553億円)以上のお金がかかるというのです。しかも、太陽光発電施設が増えるにつれ、投入金額も増えます。
しかも、送電インフラが整うまでは、無駄に発電を続けるのです。
これは泥縄式の底なし沼です。
さらに悪いことに、韓国政府は補助金を出し続けて太陽光発電施設の整備を行っています。つまり、政府の出費がかさんで国家債務が増えることを意味しています。
クリーンエネルギー政策を推進するのは、気持ちのいいことかもしれませんが、ことは国民の生活に直結する電力インフラに関わることです。また、結局国民の税金で行う事業なわけで、こんなにいい加減なことが許されるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)