韓国のエネルギーインフラ政策がいかに行き当たりばったりか分かる話がまた出ましたのでご紹介します。
無茶なカーボンニュートラル計画
文在寅大統領はクリーンエネルギー政策を推進しており、「2050年にカーボンニュートラルを実現する」と宣言しました。
この目標に向かってまい進しているのですが、何度もご紹介しているとおり、その計画は極めて実現困難なものです(実現不可能といっても過言ではありません)。
実現困難にもかかわらず、石炭火力発電所・原発を削減して再生可能エネルギーによって代替すべく、太陽光発電施設、風力発電施設の乱造に向かっています。
しかし、これも何度もご紹介していますが、韓国政府の計画は杜撰です。
太陽光発電施設、風力発電施設を設置すれば一丁上がりではないのです。その施設を電力網に接続しなければなりませんし、生産した電力を貯蔵する施設が必要です。
実際、「新設された太陽光発電施設のおよそ1/3が送電網に接続されていない」という報告があります。変電所の新設、送電網の延伸のメドは立っておりません。
1,248兆の試算!「コストは考えていなかった」に驚愕
今回ご紹介するのは、それだけではなく、生産した電力をためるための施設についても何も考えていないことが分かったという話です。
本件を報じた『朝鮮日報』の記事から以下に引用します。
政府目標どおり2050年カーボンニュートラルを達成するためには、太陽光・風力で生産した電力を保存するためのエネルギー貯蔵装置(ESS)の構築だけで最大1,248兆ウォンが必要である、と『カーボンニュートラル委員会』の内部検討結果が出たと確認された。
(中略)
カーボンニュートラル委は去る08月、カーボンニュートラルのシナリオを発表し、「所要費用は考慮しなかった。カーボンニュートラルは選択ではなく、私たちが必ず行くべき道であり、どんな革新が必要なのかを考えることの方がより重要である」とのコストは明らかにしなかった。
(後略)
電力貯蔵用の施設を造るだけで「1,248兆ウォン」(約117.3兆円)かかるという試算も驚きですが、それよりも「コストのことなど何も考えていなかった」という告白はまさに驚天動地です。
こんなばかな話があるでしょうか。コストの試算がなければどれだけお金がかかるのか分かりません。なぜそのような状態で政府の計画が立てられるのでしょう。
文政権によって韓国のエネルギーインフラ政策は非常に危ういものにねじ曲げられてしまいました。いくら投じないとカーボンニュートラルを実現できるか分かりませんし、電力供給が安定するかどうかも不明です。
理念先行で現実を見ない左派政権の本領を発揮した事案といえるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)