韓国政府は2021年10月07日に外国為替平衡基金債券(以下「外平債」と表記)を約13億ドル規模発行しました。
企画財政部は「最低金利で発行できた!」と喜びの声と共にプレスリリースを出しました。それはいいのですが、10月10日にも「外平債発行後の動向」というプレスリリースを出しています。
その説明がおかしいのです(以下はリリースと訳文)。
以下①の訳文
1.外平債の発行以来の取引動向
10月06日(欧州・米国現地時間)、歴代最安値の加算金利で発行された外平債は10月07〜08日に市場での新たな投資需要が喚起され、加算金利が追加下落(債券価格の上昇)など好況が続いている。○アジア国債初のグリーンボンドとして発行されたユーロ建て外平債(5年満期、7億ユーロ)の場合、加算金利が発行時+13bpから10月08日には+7bpまで下落した。
(後略)
「ん?」と思われないでしょうか。
発行したユーロ建て外平債が「アジア国債初のグリーンボンド」と紹介しています。
「グリーンボンド(Green Bond)」というのは、「地球温暖化対策や再生可能エネルギーに投入する環境対策資金を調達するために発行する債券」のことです。
いわゆるESG(Environment、Social、Governance)投資に関心の高い投資家からの資金投入が期待できます。
外平債というのは、為替レートを安定させるための為替介入資金を入手するために発行する債券です。
先にご紹介したとおり、「目的が違うだけで資金調達機能は国債と同じ」なので、現在は「外平債」と名称だけは残っているものの国債にカテゴライズされています。ですから「国債」は合っています。
しかし、為替介入用資金を獲得するための外平債が、なぜ環境対策目的のために発行される「グリーンボンド」になるのでしょうか?
もしかして、為替介入資金を獲得するのに発行する債券を「グリーンボンド」と偽って発行していませんか?
いや、集めた資金の使用用途が環境事業のために使うというのであれば、一応グリーンボンドと言い張れるのかもしれませんが、そもそも外国為替平衡安定基金に入るお金を獲得するのが外平債のはず。
いったい切り分けはどうなっているのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)