「らしいなぁ」という話です。
大統領選挙対策のためか、ここにきて韓国政府与党『共に民主党』で「また災害支援金をまこう」という動きを強めています。先にご紹介したとおり、政府は後ろ向きなのですが、大統領選挙に勝ちたい与党議員が無理を通すかもしれません。
震源地はもちろん、同党の統一大統領候補・李在明(イ・ジェミョン)さんです。
2021年11月07日、李在明(イ・ジェミョン)さんは「今年は超過の税収が40兆ウォンほどになるだろう」「国が金持ちで国民が貧しいというのは普通のことなのか」と述べたとのこと。
「国が金持ち」という認識はいかがなものか、ですが、要は「予算で見込んだより税収が増えたのなら、それを災害支援金として国民に給付せよ」というのです。
韓国政府の税収見込みは「31兆5,000億ウォン増える」だったのですが、これよりさらに「10兆ウォン」増える予測です。
李在明(イ・ジェミョン)さんの「超過の税収が40兆ウォンほどになるだろう」はここからきています。
「40兆ウォンまけ」というのはなかなか剛毅な発言ですが、一理あります。韓国の財政法からいえば、このまま税収が増えたぶんを保持していても、今期に発行した国債を償還するのを優先しなければなりません(第90条)。
しかし、現在のところ韓国は(まだ)借り換えに困るといった状況になっていません。だったら償還せずに使ってしまっても別にいいのではないでしょうか(まだ大丈夫と思うなら&後先考えなければ)。予算になかった臨時収入ですし(使い道として「まく」のが正しいかは別)。
韓国の国家債務比率は最も低くはない
ただし、「災害支援金をまこう」につながる認識として「我が国は家計負債比率は高いが、国家負債比率は最も低いという異常な状態だ」と発言しています。
こちらはいただけません。
韓国は「国家負債比率が最も低い国」ではありません。
以下をご覧ください。『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の「財政モニター」の最新版(10月公開)です。
↑スマホの方は小さくて見づらいかもしれません。申し訳ありません。これは『IMF』がまとめた「各国政府の総負債の推移2012~2026年」で、赤枠で囲ってあるのが2021年。韓国の推移は赤い点線部分です。
2021年には、韓国は政府負債は対GDP比で「51.3%」ですが、韓国のすぐ下の「ラトビア:47.6%」「リトアニア:47.4%」ですし、「デンマーク:38.8%」など、韓国より政府負債の対GDP比」が低い国はたくさんあります。
『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)の方のデータを見てみても、2019年の『OECD』の加盟国のうちハードカレンシーを持たない国の政府負債対GDP比率の平均値は「41.8%」です。韓国は「42.1%」でしたから全然低くはありません。
李在明(イ・ジェミョン)さんがどこのデータを見て「韓国の債務比率は最も低い」と述べているのか分かりませんが、その認識は間違っています。
ですので、これを基に「政府がいくら借金しても大丈夫」と考えているのならとても危険です。
(吉田ハンチング@dcp)