小ネタですがあまりに「らしい話」ですので、ご紹介します。
2021年11月05日、韓国最大野党の『国民の力』は党の次期大統領候補として尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長を選出。尹さんは、この日から本選に向けて、本格的な選挙活動を始めています。
尹さんが統一候補になってしまったことについて、文在寅大統領、青瓦台・大統領府がどのような反応を示すのかに注目が集まっていましたが……傑作な事態となりました。
「文大統領からの祝賀メッセージ」を届けるからスケジュールを空けろ
青瓦台・大統領府から尹さんに対して「大統領府の李哲熙(イ・チョルヒ)政務首席秘書官が面談して文大統領の祝賀メッセージを届けるからスケジュールを空けるように」という打診(?)があったのです。
この件の原点は、与党『共に民主党』の統一候補となった李在明(イ・ジェミョン)さんと文大統領が面談を行ったことにあります。
Money1でもご紹介しましたが、そもそも遺恨のある二人なのに青瓦台・大統領府で50分も会談を行いました。
この会談については、「政治的中立の立場を取らなければならない現職大統領が、大統領候補者に会ったりするのは問題だ」とメディアからは批判されていたのです。
「政治的な中立というのなら他の候補者にも会わないとおかしいだろう」とも。
至極もっともな批判です。
で、『国民の力』の統一候補となった尹さんにも会うんだろうな――とメディアから突かれていたのです。青瓦台・大統領府は「そんな必要はないだろう」と反論していました。
文大統領が今さらどの面下げて、あれだけいじめた尹さんに会えるのか、というのが本音だったでしょうが(会ったとき殴られても文句は言えないでしょう)、さすがにそれはおくびにも出しませんでしたが。
しかし、李在明(イ・ジェミョン)さんには会ったくせに尹さんには会わないというのは、さすがに説明がつかないし、体裁も悪いと判断したのでしょう。
結果、上記の「文大統領からのお祝いメッセージを届ける」になったものと思われます(メッセージと花を贈るのでスケジュールを空けて受け取れというものだったとのこと)。
2021年11月08日には青瓦台・大統領府は「尹氏側からはスケジュールを空けると伝えてきた」「現在日程を調整している」としていたのですが……09日、これが一転します。
尹さんサイドは「忙しいから要りません」と一蹴!
尹さん側は「スケジュールが空かないので、この話はなかったことに……」とお断りを入れたのです。
青瓦台・大統領府は勝手に(ありがたがって)受けるだろうと決めて発表したのですが、あに図らんや尹さん側は一蹴したわけです。
文大統領、青瓦台・大統領府の面目は丸つぶれとなりました。
この尹さん側の拒否について、青瓦台・大統領府関係者は「文大統領のお祝いメッセージを伝える行事は尹氏サイドからの要請によって行われるものだった」などと記者に述べています。
体面を保つための明らかな負け惜しみです。もし本当に尹さんからの要請だったとしたら、スケジュールが合わないなどということはないはずですから。
それにしても、検察総長時代に尹さんをあれほどヒドイ目に遭わせたくせに、尹さんが今さら文大統領からのお祝いメッセージをありがたがると思うというのは、神経を疑う話です。
これでまた文大統領と尹候補の間に遺恨が一つ増えました。
(吉田ハンチング@dcp)