Money1では連日、KOSPI(韓国総合株価指数)の状況をご紹介しておりますが、ここのところ韓国株式市場は大変に下落しています。2020年11月終わり頃の水準まで株価は戻ってしまいました。
「株価が下がっても誰も助けはしないよ」
韓国でも「どうなるんだ」と騒ぎになっていますが、韓国メディア『韓国経済』に、現在の急落状態についてあるファンドマネージャーAさんに意見を聞いたという体(てい)の記事が出ました。
非常に血も涙もないご意見で興味深いのでご紹介します。
少し長くなりますが、以下に記事の一部を引用します。
(前略)
彼(ファンドマネージャーAさんのこと:筆者注)は「株価がいくら落ちたとしても、周りを見回せば、世の中はうまくいっており、人々は各自の仕事に熱心だ」とし「株価が落ちても中央銀行は金利を下げない」と答えた。「このように市場が壊れれば当局が何か措置を出すのではないか」と期待してはならないということだ。
A氏は「最近の急落状況は経済危機の時や、コロナ19事態が起こった時を連想させるほどだが、そのような場合との違いを直視しなければならない」と声を高めた。
経済危機やコロナ19事態の時は「経済が壊れるだろう」という危機感で株式市場が急落し、「救援投手」がすぐに登場して早い反騰が可能だった。
政府と中央銀行が救援投手だった。
景気浮揚のために政府がお金をまいて、中央銀行が金利を下げて反騰を作った。
だが今の状況はそんな時とは違う。
中央銀行は物価安定が最優先だ。
株価が下がったことを心配して金利を下げたりはしない。株価が下がったからといって米国中央銀行(FED)がスタンスを変えることはない、ということだ。
A氏は「株式投資家の立場では、以前とは異なり、助ける人がいないという点で、さらに深刻な状況」とし「今回の急落では、このような「孤立無縁」の状況が売り圧力を高めた」と診断した。
(後略)
Aさんの指摘は正鵠を射ているでしょう。
さらにいえば、2021年正月の賀詞交換会で、『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁と企画財政部の洪楠基(ホン・ナムギ)長官が、二人そろって「借金をしてまで株式投資をするんじゃない」と警告していました。
韓国の金融当局のトップの二人がです。
ですから、二人からすれば「だから僕、言ったじゃない」ですし、現在の状況は「知らんがな」です。
二人の立場からいけば、株価がなんぼ下がろうがお金を引き締める方向で動く局面なのです。
「何やってんだ、あんたたちは」という話
ただ韓国らしいのは、「お金を支援しろ」の声に負け、洪長官の方はお金をまく方向で動かざるを得なくなっていることです。先にご紹介したとおり、中央銀行『韓国銀行』は引き締め方向でピリピリしているのに、この期に及んでも韓国政府は「お金まこう」です。
金融当局のツートップが真逆の方向を向いています。「あんたたちは何をやってんの!?」と突っ込まないといけない状況です。
そりゃ通貨も安くなるってものですよ。
(吉田ハンチング@dcp)