小ネタかもしれませんが、興味深い指摘ですのでご紹介します。
簡単にいえば「ワシが討って出る」と言っていた大将が、部下の後ろに隠れてばかりだった――という話です。
文在寅大統領の任期終了まで100日を切りましたので、同大統領の実績を総括する記事が韓国メディアに目立つようになってきました。
「任期中最後の新年の記者会見を行わないことに決めた」件は、先にご紹介しましたが、『中央日報』はこのような態度について、そもそも文大統領は就任時に「国民との意思疎通を頻繁に行う大統領になる」と述べたではないかと批判しています。
全くそのとおりで、2017年05月10日、就任宣誓を行った後、文大統領は、
“국민과 수시로 소통하는 대통령이 되겠습니다. 주요사안은 대통령이 직접 언론에 브리핑하겠습니다”
「国民と随時疎通する大統領になるだろう。主な事案は大統領が直接マスコミにブリーフィングする」
と言いました。このように文大統領が国民との意思疎通をことさらに強調して見せたのは、前朴槿恵(パク・クネ)大統領との違いを強調するためです。
日本ではあまり知られていませんが、朴槿恵(パク・クネ)大統領はいわば「引きこもり」のような人ででした。
青瓦台・大統領府の奥、大統領執務室から一方的に指示を出すだけで、記者会見などはほとんど行いませんでした。そのため朴槿恵(パク・クネ)大統領のコミュニケションを取らない姿勢は「不通」と呼ばれ、批判されたのです※。
文大統領は、朴槿恵(パク・クネ)大統領をひきずり下ろして成立しましたので、「私は彼女とは違います」と差異について大声を上げたわけです。
しかし、文大統領は結局この公約を守ったのでしょうか?
『中央日報』によると以下のようになります。記事から一部を引用します。
(前略)
任期を100日も残っていない文大統領の疎通成績表はぼろぼろだ。文大統領は国民との対話を2回、記者会見を7回を行った。
金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(記者会見・メディアブリーフィングを合わせてそれぞれ約150回)、李明博(イ・ミョンバク)大統領(約20回)より少ない。
弾劾され任期を満たせなかった朴槿恵(パク・クネ)前大統領の直接疎通回数5回と大きな差は出ない。
大見得を切った割には朴槿恵(パク・クネ)大統領とあまり変わりません。
Money1では何度もご紹介しているとおり、文大統領はとにかく自分の責任が追及されそうなブリーフィング、記者会見などには出ません。矢面に立つのを嫌がっているためこのように回数が減るのです。
文大統領はこのような面でも公約を破りました。
※また、このような引きこもりな姿勢が、大統領執務室内で何が行われているのかに対する大衆の想像をかき立てた面があります。
(吉田ハンチング@dcp)