2022年02月04日、『韓国銀行』が国庫債券(国債)の単純買い取りを行う旨を告知しました。
規模は「2兆ウォン」(約1,900億円)です。
1.買取予定金額:20,000億ウォン(額面)以内
2. 買取対象証券 :
国庫債券(20年) 05500-2803(8-2,満期日 2028.03.10)
国庫債券(10年) 01375-3006(20-4,満期日 2030.06.10)
国庫債権(5年)01750-2609(21-7,満期日 2026.09.10)
国庫債権(3年)01125-2406(21-4,満期日 2024.06.10)3. 買取方法:競争入札(韓銀金融網を通じた電子入札)
4. 入札日時:2022.2.7(月) 13:30~13:40(10分間)
5. 対象機関 : 公開市場運営取引対象機関中証券単純売買対象機関
(後略)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「<国庫債券単純買取案内>」
韓国を襲っているインフレを止めるために金融引き締め方向で動いている『韓国銀行』なのですが、「買いオペ」を行います。本来なら「売りオペ」を行って市中のお金を吸収しなければならないはずです。なぜ真逆の「買いオペ」を行うのでしょうか。
「国債の利回りを上げないようにしよう」という話で……
答えは簡単で、韓国政府がお金をまくために補正予算を組んで、その財源のほとんどを赤字国債発行で賄(まかな)おうとしているからです。
韓国メディアで報じられている金額をそのまま引けば、補正予算「14兆ウォン」のうちの「11兆ウォン」を赤字国債で賄うつもりなのです。
大量の国債ですから需給バランスを崩し、債券価格が下がる可能性があります。すると利回りが上昇して、これが市中金利を上昇させてしまいます。この影響を抑えるために『韓国銀行』が国債を吸収しようというのです。
以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用)
↑最も枚数の多い韓国債3年物の利回りチャート。韓国債の利回りはうなぎ上りで、2.20%を超えようとしています。利回りが上がるということは忌避・売却されていることを意味します(人気がない)。
お金の吸収には「通貨安定証券」を使う!
「しかし、お金の吸収の方はどうするんだ」という話なのですが、通貨量をコントロールするために、『韓国銀行』はあの「通貨安定証券」を発行しています。
通貨安定証券の売りオペでお金を吸収しようというのです。
通貨安定証券はかつて『韓国銀行』を赤字に転落させた債券ですが、確かにこういう時には役立ちます(ご発行は計画的に!)。
『韓国銀行』は02月04日に「2.30兆ウォン」の通貨安定証券の競争入札結果を公表。19社から入札があり、「2.30兆ウォンははけた」とのこと(以下がリリース)。
02月07日には、さらに「0.60兆ウォン」の通貨安定証券の競争入札実施のお知らせを出しています(以下がリリース)。
今回ご紹介した分だけでも※、通安債の発行「2.3兆ウォン + 0.6兆ウォン」で約3兆ウォンを吸収し、国債の買い入れで「2.0兆ウォン」吐き出すわけでですから、計約1兆ウォンの吸収です。
「はい吸って、吸って」「はい、吐いてー」みたいな話ですが、『韓国銀行』はドタバタで大車輪です。
※『韓国銀行』は02月03日にも「1.02兆ウォン」の通貨安定証券を8社に落札してもらったと公表しています。上記の計算はあくまでも今回ご紹介した分でのものとお考えください。
『韓国銀行』は02月中だけでも以下のように通貨安定証券を発行する予定なのです。
競争入札分
02月03日:1.0兆ウォン
02月04日:2.3兆ウォン
02月07日:1.0兆ウォン
02月09日:1.2兆ウォン
02月14日:1.0兆ウォン
02月16日:1.1兆ウォン
02月21日:1.0兆ウォン
02月28日:0.8兆ウォン
小計:9.4兆ウォン募集分
02月25日:1.0兆ウォン/0.3兆ウォン
小計:1.3兆ウォン合計:10.7兆ウォン
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2022年2月通貨安定証券発行計画」
(吉田ハンチング@dcp)