韓国経済の03月危機説がささやかれていたりします。その根拠とされているのが、「元利返済猶予措置が03月末で終わる」ことです。
コロナ禍の中、韓国の金融委員会は流動性拡大を企図し、その一貫として「中小企業・個人事業主への融資について、償還期限の延長、元利返済の猶予」措置を行いました。簡単に言えば、借金返済の繰り延べです。
この猶予措置はそもそも6カ月の予定だったのですが、コロナ禍からの経済回復が芳しくないため(特に個人事業主)期限延長が繰り返されました。
しかし先にご紹介したとおり、金融委員会はついに腹をくくり、2022年03月31日をもって「原則、元利返済猶予措置を終了する」と決定(以下が過去記事)。
これまでこの猶予措置で止まっていた返済がこれをもって再開するわけで、いまだ立ち直っていない零細企業や個人事業主の皆さんが資金繰りに窮する可能性が高まります。
それだけではありません。金融機関にとっても不良債権が急拡大する可能性があります。不良債権が急増すれば金融機関の健全性が危うくなるのです。
どのくらいの金額がダムにたまっているか――は、これまた先にご紹介したとおり、『毎日経済』によって「ユン・ガンソク議員室が金融委員会から受け取った資料によれば、2020年04月~2021年10月末基準で106万件、261兆2,301億ウォン」と報じられました(以下が過去記事)。
ところが、2022年02月18日、『毎日経済』に本件の数字が更新される記事がでましたのでご紹介しておきます。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
18日、ユン・チャンヒョン『国民の力』議員室が金融委員会から提出された資料によると、政府の金融支援が始まった2020年04月から昨年11月まで市中銀行で貸出元金返済を延期した件数は合計2万7,052件、総額は9兆3,044億ウォンだった。つまり、政府の金融支援で市中銀行では1件当たり平均3億4,000万ウォンの元金返済が延期されたわけだ。
同期間、市中銀行で融資満期が延長された件数は計65万7,405件、総額は157兆3,800億ウォンであると集計された。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「返済猶予自営業者の借金1人当たり3億…『利子も払えないのに来月からどのやって返済する』」
元本返済が繰り延べされたのは、2万7,052件、総額は9兆3,044億ウォン(約8,932億円)。
1件当たり平均3億4,000万ウォン(約3,264万円)です。
猶予措置が切れたら「返せ」となるわけです。これはキツイ話です。
状況が危ないなら、金融委員会は「やっぱり猶予措置は延長します」と言い出すでしょうが、これは単なる問題の先送りに過ぎません。
来る03月、猶予措置の行方についてもご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)