韓国が「アメリカ合衆国のパートナー国になれなかった」問題がまだ尾を引いています。
産業通商資源部長官が緊急渡米する羽目に
韓国の産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が渡米し、商務省Don Graves(ドン・グレイブス)副長官とホワイトハウスのDaleep Signh(ダリープ・サイン)NEC/NSC副補佐官を相次いで会談を行いました(03日現地時間)。
つまり泣きついたわけです。
韓国を、合衆国が新たに定めた「ロシア全土を対象にしたFDP※ルール」(これが「FDPR」と呼ばれます)の対象外にしてもらうためです。
先にご紹介したとおり、韓国は合衆国に同調する友好国32カ国に入れず、FDPR対象となっていたのです。
泣きついた結果として、2022年03月04日、産業通商資源部が以下のようなプレスリリースを出しました。ポイントを和訳します。
(前略)
ㅇ両国は、今回の面談で➊米韓間の対ロシア輸出統制およびFDPR免除を協議
➋インド太平洋経済フレームワーク協力案
➌鉄鋼232条など両国間の主要懸案について上級議論を行い、韓米同盟および経済協力の堅固な空調を再確認した。
□特に、この場で合衆国は、韓国の対輸出統制履行方案が国際社会の水準とよく同調されたと評価(well-aligned)し、韓国をロシア輸出統制関連海外直接製品規則(FDPR)免除対象国に含めると合意した。
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「米韓『米輸出管理』堅固な関係を確認 」
最初は合衆国には同調せず、「韓国は独自にやる」などと吹聴していたのですが、合衆国商務省のファクトペーパーでパートナー国には入れてもらえず、泡を食って対処。
文在寅大統領が「制裁をしなさい」とご託宣を出す始末で、結局、通商交渉本部長が慌てて渡米し、泣きつく羽目になったわけです。
この数日のダタバタが奏功したのか、このプレスリリースでは「韓国をFDPR免除対象国とすると合衆国が合意した」と書いています。
ただし、合衆国商務省のファクトシート(2022年02月24日公表)では、まだKoreaの名前は適用徐外国とされていません。また、韓国が加わったというプレスリリースも商務省から出ておりません(2022年03月04日15:08現在/日本時間)。
ここまでハッキリ書いている以上、本当に適用除外国となったのでしょうが、合衆国側のプレスリリースで確認できるまでは油断できません。
合衆国にスゴまれたのでしょう
上掲に「インド太平洋経済フレームワーク協力案」が入っている点にもご注目ください。
韓国は中国のことを慮って、インド太平洋フレームワークについては距離を置いていたのですが、ついに韓国が協力する「案」が話し合われたようなのです。
「適用除外国となりたいのであれば、なんかお土産を持ってこいよ」と合衆国にスゴまれた可能性があります。
先に門前払いされた「鉄鋼関税についての交渉」もしたことになっていますが、合衆国としては「はいはい。聞いたよ」という感じではなかったでしょうか。
韓国の態度に業を煮やしている合衆国は、韓国の扱いがとてもうまくなっています。日本は合衆国を見習うべきでしょう。締め上げないと動かない国なのですから。
※
以下が合衆国商務省のファクトシートの「FDPR」についての文面。
Adds two new Foreign Direct Product (FDP) Rules specific to Russia and Russian ‘military end users.’
ロシアと「ロシアの軍事エンドユーザー」に特化した2つの新しい外国直接製品(FDP)規則を追加する。
Creates a new FDP rule for all of Russia (“Russia FDP rule”). To restrict Russia’s ability to acquire certain foreign-produced items, the Russia FDP rule establishes a control over foreign-produced items that are: (i) the direct product of certain U.S.-origin software or technology subject to the EAR; or (ii) produced by certain plants or major components thereof which are themselves the direct product of certain U.S.-origin software or technology subject to the EAR. This control applies when it is known that the foreign-produced item is destined to Russia or will be incorporated into or used in the production or development of any part, component, or equipment produced in or destined to Russia. The Russia FDP rule does not apply to foreign-produced items that would be designated as EAR99 (items not listed on the CCL), which includes many consumer items used by the Russian people.
ロシア全土を対象とした新しいFDPルール(以下、「ロシアFDPルール」)を作成する。
ロシアが特定の外国生産品を取得する能力を制限するために、ロシアFDPルールは以下の外国生産品に対する管理を確立する。
(i) EARの対象となる特定の米国製ソフトウェアまたは技術の直接生産物、
または、
(ii) EARの対象となる特定の米国製ソフトウェアまたは技術の直接生産物である特定の工場またはその主要コンポーネントによって生産されたもの。
この規制は、外国で生産された品目がロシア向けであること、またはロシアで生産された、もしくはロシア向けの部品、コンポーネント、機器の生産もしくは開発に組み込まれる、もしくは使用されることが分かっている場合に適用される。
ロシアFDP規則は、EAR99に指定される外国生産品目(CCLに記載されていない品目)には適用されず、これにはロシア国民が使用する多くの消費者向け品目が含まれるものとする。
(吉田ハンチング@dcp)