2022年05月には韓国に尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権が発足します。
先にご紹介したとおり、すでに大統領職引き継ぎ委員会が意見参画した「2023年度予算案編成及び基金運営計画案作成指針」が国務会議で議決されており、文在寅大統領が推進してきた支出拡大路線からの転換が決定的になりました。
これによって、文政権が広げてきた無駄な枝は剪定されることになります。
尹政権の方針は「必要なところに必要な予算をつける」と報じられていますが、どこまで支出を絞ることができるかです。
05月31日〆切で各省庁から要求が出て、これを合算するわけですが、恐らく2022年の本予算よりも拡大することになるだとうと見られているのです。
これは、明らかに無駄だと判断して予算をカットすることができる部分は恐らく10兆ウォン程度しかなく、韓国ではコロナ禍の感染がまだ高いレベルにあって支援対策金を積まなければならないためです。
韓国メディアでは「2023年度の本予算」が「638兆ウォン」まで拡大するのではないか、という読みが出ています。
韓国の予算拡大と負債の激増
2022年度の本予算が「607兆7,000億ウォン」でしたから、約32兆ウォンも拡大すると読んでいるのです。
1年で支出が「5.1%」も増えるのです。
もちろん税収が劇的に増えるといったことは考えられませんから、この支出を支えるためには赤字国債を発行するなどしてお金を調達するしかありません。
つまり政府が負債を増やすのです。
2023年度の本予算が「638兆ウォン」になった場合、政府負債がどこまで膨らむと予想できるかというと……以下の2017年から2023年までの「政府支出(本予算)」「政府負債」の推移をご覧ください。
2022年度の政府負債「1,075兆ウォン」から一気に「100兆ウォン」膨らんで「1,175兆ウォン」に達すると予測できます。
「9.3%」の増加です。支出は「5.3%」増加でも負債は「9.3%」増加するのです。これは韓国政府の支出がいかに借金に依存しているのかを示しています。
しかも、この政府負債金額は韓国政府が標準とする「D1」ベースですので、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)や『BIS』(Bank for International Settlementsの略:国際決済銀行)が使う「D2」を使うとさらに大きな金額になります。
文在寅大統領が引いた拡大基調をスグには止められません。つまり、どうにもならん――です。
新しい韓国政府がどのような財政政策を取るのか、また政府負債がどこまで拡大するのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)