韓国メディアに「『サムスン重工業』の重荷になっていたドリルシップの在庫がハケたー!」という報道が出ているのですが……。
Money1でもずっとご紹介してきたとおり、世にもあほらしい話ですが『サムスン重工業』ではドリルシップ5隻が在庫になっていました。
国際的に原油価格が上昇したときに受注して造ったのですが、その後原油価格が下がって「もう要らないです」と引き取りを拒否されるなどして(契約解除も)、在庫に積み上がったのです。
そもそも、海底を掘削するドリルシップなどという船種は特注品で「在庫あります」なんて話は本当におかしいのです。
『サムスン重工業』では、決算のたびにこの5隻のドリルシップの棚卸評価損を積まねばならず、ただでさえ赤字の会社の決算が悪化するばかりでした。
本当にあほらしく「なんとかならんのかいな」――という話で、今回、韓国内の「プライベート・エクイティ・ファンド」にドリルシップが引き取られるという発表は『サムスン重工業』にとっては朗報です。
「큐리어스 크레테 기관전용PEF」(キュリアスクレタ機関専用プライベート・エクイティ・ファンド)にドリルシップ4隻を1兆400億ウォンで売却――なのですが、これはとんちでクリアしようという一休話のようなものです。
というのは、『サムスン重工業』がこのファンドに5,900億ウォン規模の出資を行うのが込みの話なのです。
このPEFが、『サムスン重工業』が保有するドリルシップを買い取って売り、売却収益を出資比率および約定された投資収益率に合わせて投資家に配分する――という仕組みです。
そもそも『サムスン重工業』が売ろうとしてこれまで売れなかったものを、このPEFが売却できるのかという点が甚だ疑問ですし、外部の会社に在庫を押しつけただけなんじゃないのか、という素直な疑問も湧きます。
ですから、まあトンチみたいなものです。
しかしながら、これで『サムスン重工業』のドリルシップ4隻の在庫が一応ハケたことになります。ですから「やったー!」ではあるのですが、PEFがきちんと売却できるのかはこれからです。
ともあれ、『サムスン重工業』としては損切りができたわけで、「あとは野となれ山となれ」です。韓国の造船会社は本当に面白いですね。
(吉田ハンチング@dcp)