韓国の尹錫悦新政権が、「小商工人・個人事業主」の損失補てんのため、約6兆円(59兆4,000億ウォン)もの史上最大規模の補正予算を編成しました。
尹錫悦政府は、このための財源は「赤字国債の発行」に頼らないとしています。
2022年に見込まれる超過税収でほとんどを調達し、後は支出の調整で行うという計画――というのは先にご紹介したとおりですが、注目は支出調整の中身です。
中身を調べた結果が各韓国メディアで報道されているのですが、やはり国防予算は大きく削られました。削減額は以下になります。
軍戦力運営費:9,518億ウォン
防衛力改善費:5,550億ウォン
小計:1兆5,068億ウォン
2022年度の韓国政府の予算では、支出は607兆7,000億ウォン。このうち国防予算は「54兆6,000億ウォン」になります。
つまり、政府支出の9.0%を国防予算としているということです。
「1兆5,068億ウォン」を削りましたから、「54兆6,000億ウォン」の「約2.8%」を削減したことになります。
細目を見てみると、例えば以下のような感じです。
C-130H多目的空中給油輸送機の性能改良事業:約100億ウォン削減
F-35Aステルス戦闘機の性能改良事業:約50億ウォン削減
海上哨戒機P-8A導入事業:約100億ウォン削減
韓国型機動ヘリコプター後続量産事業:約60億ウォン削減
海上作戦ヘリコプター国外購買事業:約526億ウォン削減
局地防空レーダー、移動型長距離レーダーと航空管制レーダーを交換または追加確保事業:約200億ウォン削減
識別装備性能改良事業:約575億ウォン削減
各種武器体系の性能向上のための改造・改善予算:約777億ウォン削減
施設の設置・保守関連予算:約219億ウォン削減
軍幹部宿舎の追加設置およびメンテナンス予算:約1,035億ウォン削減
発物運搬用トレーラーの追加獲得、対テロ装備の購入予算:約37億ウォン削減
個人戦闘装具用予算:約81億ウォン削減
etc.
面白いのは、兵士、および国民から「あまりにも貧相だ」と非難の声が上がっていた「給食」については増額したことです。
「1,125億ウォン」の増額です。
この国防費の削減について、巨大野党に転落した『共に民主党』、また韓国メディアから批判の声が上がっています。
「尹錫悦は大統領選挙期間中は国防に空白があってはならない」として「文在寅政権の国防費削減」を非難していたじゃないか――と。
そうなのです。尹錫悦さん、また『国民の力』は、文政権が追加予算の財源確保で国防予算を削った際には、批判していました。しかし、いざ政権を握ったら、やはり国防費を削るのです。
「(そもそも要りもしない)軽空母を獲得だ!」といった無駄なものを削って、より現実的な予算編成をすればもう少し国防費もすっきりするのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)