中国市場において「韓国製品はもはや特別な価値を持ってはいない」――という話です。
念のために冒頭に書きますが特に筆者の意見ではありません。韓国メディアの意見です。
中国市場での貿易黒字が怪しくなってきた韓国
まず現状です。
韓国は輸出一本で食べている国ですから、貿易で黒字が出ないと国が立ち行きません。
Money1でもご紹介しているとおり、これまで「韓国の貿易黒字」の大黒柱であった対中国貿易に暗雲が垂れ込めています。
2022年、上掲のとおり、貿易のもうけを示す貿易収支は赤字に転落。赤字は3カ月連続(ただし通関ベース)で、08月も赤字になるのではないかと懸念されています。
簡単にいえば、「対中国貿易はこの先ももうかるのか?」という不安が顕在化しているのです。
もはや韓国製品は中国市場でブランド価値を持たないのだ
現在も、輸出先としては中国は最大の規模です。これまでは利益を積み上げられたのですが、これが赤字になると、韓国経済に大きな打撃となります。
興味深いのは、自国製品が中国市場で思うように利益を上げられくなっていることに、韓国の皆さんは心理的な衝撃を受けているご様子なのです。
というわけで、韓国メディアには悲鳴のような記事が出ました。『韓国経済』の記事から一部を引用してみます。まず以下の部分です。
(前略)
しかし現実経済は違う。経済が発展したA国がB国に追い越されると、A国の国民の自尊心が傷つく。なかった問題が発生する公算も大きい。新しい秩序に適応するまで混乱が生じることがある。
最近、韓国と中国の貿易事情を見ると、このような心配をしなくてはならない。
韓国は去る05月から07月までの3カ月連続大衆貿易で赤字を記録した。
3カ月連続の対中国貿易赤字は、韓国が中国と貿易を開始した1992年以来30年ぶりに初めてだ。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国経済』「[이슈 프리즘] 대중 무역적자가 의미하는 것」
貿易赤字は、輸出よりも輸入の方が多いということを意味します。輸入の方が多いということは、ある意味、相手の生産する製品(など)を自国がより多く求めているわけです。
これまでは、中国は韓国が輸出する製品を求めてきましたが、今や中国は韓国製品をそれほど求めていない。むしろ韓国の方が中国産の物を欲している状態と見ることができます。
相手国は自国のものをあまり求めていないのに、自国は相手国のものを求めている、いわば「片思い状態」といえるかもしれません。「相手は私のことを必要としていないの?」というわけです。
そのような心情(?)からでしょうか、「経済が発展したA国がB国に追い越されると、A国の国民の自尊心が傷つく」などと書いています。
A国は韓国で、B国は中国ですね。B国に追い越されたという認識で自尊心が傷つくようです。
次に以下の部分をご覧ください。
(前略)
しかし、中韓貿易はすでに構造的に変化しているという分析の方がより説得力がある。中国の消費者は韓国の携帯電話や自動車などをもはやプレミアム製品とみなさないという伝聞が多い。
中国製品より少し優れているが、コストパフォーマンスに劣ると考えるということだ。
「中国製造2025」の余波も現れている。
情報技術(IT)、ロボット、航空宇宙装備、新素材などを集中育成し、これまで韓国が優位を持っていた領域で中国が打ち上がってきたという話だ。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国経済』「[이슈 프리즘] 대중 무역적자가 의미하는 것」
この部分は正鵠を射ているでしょう。
中国の技術力が向上し、スマホや自動車などは作れるようになって、中国市場すなわち中国の皆さんは、韓国製品にプレミアム感を持たなくなったのです。
韓国製品を「良い物」と認めなくなり、それどころか「コストパフォーマンスが悪い」と認識しています。
簡単にいえば「韓国は中国市場における国としてのブランド力が消滅した」のです。
韓国製品は、しかし価格で勝負はできません。
安値の叩き合いで中国製に勝てるわけがないからです。それでブランド力がなくなったわけですから、生き残るのは非常に困難といわざるを得ません。
「超格差技術」が生存の道。それができたらこうはなってない!
問題は「どうするか?」です。
同記事が興味深いのは、この結論部分です。以下に引用してみます。
(前略)
3カ月連続の貿易赤字は、中国がもはや放漫な市場ではないという点を覚醒させた。半導体を含む幾つかの分野で確実な超格差を実現できないと、貿易赤字は持続し、赤字規模はさらに大きくなる可能性がある。
「Chip4」同盟に加入することは技術競争力を維持する方法かもしれない。
より本質的には、韓国企業が中国に先立っただけでなく、世界市場をリードする革新製品とサービスを開発できるように規制をなくすことが確実な方法だ。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国経済』「[이슈 프리즘] 대중 무역적자가 의미하는 것」
中国企業との技術的な「超格差」を実現できないと赤字が持続、また拡大するだろ、と書いています。全くそのとおりですが、しかしそれができないからこのよう現実になっているのです。
ちなみに、「Chip4」に加盟すれば技術的競争力を維持できるかも……と書いている点は注目に値します。合衆国・日本・台湾から技術移転させてやろうと目論んでいる可能性があります。
「Chip3」の面々は注意しなければなりません。
(吉田ハンチング@dcp)