韓国外交部は「逃げ」を打っているのではないのか。「国防部に聞いてください」ってなんだ

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韓国外交部が中国の言い分に公的に反論しました。今までなかったことです。

韓国外交部は2022年08月12日の記者向けブリーフィングで、THAAD問題、「三不一限」について中国と何を話したのか記者からの質問に答えました。

以下がそのブリーフィングについてのプレスリリースです。一応全文和訳します。面倒くさい方は強調文字、赤いアンダーラインの部分だけご覧ください。


↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット

II. Q&A

<質問>中国のTHAAD「三不一限」発言で騒々しくなっています。王毅部長が朴振(パク・ジン)長官と会談する際に「一限」について言及したのか​​、あったのなら王毅部長が何とおっしゃったのか聞かせてください。(『News1』ノ・ミンホ記者)

<回答>中国外交部のいわゆる「三不一限」への言及に関連した多くの報道が出ていますが、再度私たちの立場を申し上げます。

「韓国が三不一限政策を公式に宣言した」という中国の主張は、以前の政府が対外的に立場を明らかにしたことを指摘したと理解されます。

韓国政府は、THAADが北朝鮮の核・ミサイルの脅威から韓国国民の生命と安全を守るための自衛的防御手段であり、これは安全保障上の主権に関連する事案として協議対象にならないという立場であることを、再度強調して申し上げます。

今回の中韓外交長官会談でも、わが国はこのような立場を中側にはっきりと伝えました。

さらに、中国が関連事案を取り上げ続けるほど、両国民間の相互認識が悪くなり、両国関係に障害物として作用するだけであることを何度も強調しました。

今回の会談の際に、両国はTHAAD問題に関連してお互いの立場の差を確認しながらも、同事案が両国関係に影響を及ぼす障害になってはならない、ということで理解を共にしました。

今後も私たちの明確な立場と今回の外交長官会談の結果をもとに、中側とも2+2外交安保対話など両国間協議チャンネルを活用してコミュニケーションを継続していきます。

<質問>先ほどの立場に基づいて伺います。THAAD基地の正常化は予定どおりに推進されているのか、うまく進行するのか、そして年内に完了できるかどうか、政府方針について公式立場を説明してください。(『東亜日報』シン・ナリ記者)

<回答>同関連事案は主管部署である国防部に詳細をお問い合わせください。

<質問>関連して質問させてください。先ほどの質問で会談では「一限」の話が出たと受け止められます。これについて教えてください。というのは、韓国政府も発表していますが、「つまずき」を巡って両国が別の解釈をするのではないか、このような考えもあります。それで何度も聞きますが、会談で「一限」の話が出たのかどうかについてお願いします。(『メディアペン』キム・ソジョン記者)

<回答>朴長官は今回の中韓外交長官会談でTHAAD「三不」関連の立場を中国側にはっきりと伝えました。そして「三不一限」に関することは、中国外交部のスポークスマンが記者の質疑に答える過程で出てきた発言と理解しています。

<質問>延長線上で質問させてください。国防部では、THAAD配備の正常化に関して「外交部と意見を集約して決定する問題だ」、このような趣旨の立場を今日明らかにしたりもしました。先に「国防部側に問い合わせる事案だ」とおっしゃいましたが、もし中国の反発があっても、今後THAAD配置は計画どおりに正常化するのか、この部分について外交部の公式な立場から説明をお願いいたします。(『YTN』チョ・スヒョン記者)

<回答>これまでも明らかしたように、韓国政府はTHAADが北核・ミサイル脅威から韓国国民の生命と安全を守るための自衛的防御手段であり、安全保障上の主権に関連する事案として、協議対象にはならないという立場を一貫して堅持しています。従って、THAADに関する事項は、私たちの安全保障を全般的に検討しながら決定される事案とお答えします。

<質問>中国外交部が昨日の質疑応答でTHAAD「三不一限」について話しました。外交長官会談以後、雰囲気が良かったのに、朴長官が到着した直後にそのような発表がありました。もしかしたら外交チャネルで抗議を行ったり、わが国の立場を伝えたりしたのでしょうか。(『News1』ノ・ミンホ記者)

<回答>おっしゃったとおり、昨日中韓会談を終えて、わが国の代表団が帰国しました。会談での協議を今後よく履行していくことにし、会談時にも率直な意見交換が行われました。このような結果を基に、今後ずっとコミュニケーションを取っていきます。中国側ともずっとさまざまな懸案に関連して意見を交わし、意思の疎通を図ります。

さらに質問がなければ、今日の説明は終わります。ありがとうございました。 終わり。

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「スポークスマン定例ブリーフィング」

韓国外交部は逃げを打っているように見える

韓国外交部の報道官はまともに記者からの質問に答えていません。

王毅外相が朴振(パク・ジン)外交部長官と話したときに、「一限」について言及したのかどうかという質問に、あったかなかったかを明言していません。

面白いのは、「三不」については王毅外相と朴長官の間で話には出たが、「三不一限」は中国外交部の報道官が記者とのQ&Aで話したこと――と言っていることです。

中国外交部が公式に「三不一限」について述べたのはこれが初めてのことなので、非常に重要なポイントなのですが、韓国の報道官ははぐらかしました。

また、「韓国が三不一限政策を公式に宣言した」という中国の主張は、前の文政権が言ったことを指している――と逃げを打っています。

尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が言ったことではないので「中国との合意や約束にはならない」という意味なら、相当苦しい言い訳です(というかそんな理屈は通用しないでしょう)。

中国の趙立堅報道官が述べたように「あんたの国には約束を守るという連続性はないのか」という根本的な欠陥に行き当たるからです。


↑趙立堅報道官といえば、このシュタッ!のポーズ

さらには、ならTHAAD基地は正常化されるのか? 政府にその気はあるのか? 年末までに完成するのか?という記者からの畳み掛けには、「事業を行っているのは国防部なのでそっちに聞いてくれ」と、これまた逃げました。

国防部の方は「外交部と意見を集約して決定する問題だ」と言っている、外交部の意見を聞かせてくれ――とさらに突っ込むと、「THAADは韓国が自主的に決めることであるので適切に判断するだろう」とさら逃げました。

やる気があるのかないのか、分かりません。

先に以下で、大統領室関係者が「08月末までにはほぼ完成するだろう」と述べたという『朝鮮日報』の記事をご紹介しましたが、どうも怪しくなってきました。

【速報】韓国大統領室の関係者が「THAAD基地は08月末にほぼ正常化する」中国と真っ向対立か
大変に愚かなことを言い出していますのでご紹介します。2022年08月11日、韓国メディア『朝鮮日報』がTHAAD、「三不一限」問題で速報を打ちました。大統領室関係者が現在滞っているTHAAD基地が「08月末には正常化される」と語ったとのこと...

結局、韓国外交部が述べたことは……

韓国メディアなどでは、「韓国外交部が中国の「三不一限」主張に真っ向から反論した」という記事を挙げていますが、上掲のとおりで、これは真っ向からの反論になるのでしょうか?

結局、韓国の外交部が述べたのは、「THAADをどうするのかについては韓国の安全保障上の問題であって、中国と協議することではない」とハッキリ言った――です。

こう言うと格好はいいのですが、例えばこういうのはどうでしょうか?

中国と協議しなくてもいいように、中国の意向を入れて今までどおり「三不一限」の約束を守り、対外的には何も言わない――というのは。

つまり、内部的には三不一限の誓いを守り、だんまりを決め込むのです。

これなら中国との軋轢にはならず、「三不一限の誓いは中国と協議することではない」と言った韓国政府の立場(メンツ)も守れます。

もちろん相当に格好の悪い話で、合衆国は引き続き怒ると思われますが。

今回のブリーフィングの内容は、とてもではないですが「中国にバシっと言ってやったんだ」とは見えないのではないでしょうか。

韓国には覚悟と根性を見せていただきたいものです。

(吉田ハンチング@dcp)

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