中国は報復手段としては「米国債を売れない」

アメリカ合衆国と中国の貿易戦争は行くところまで行く様相を見せています。合衆国の追加関税攻勢に対して、中国は有効な手段を打てていません。これは輸出入のアンバランスによるもの。以前Money1でもご紹介したことがありますが、合衆国の方が圧倒的に輸入量が多いため、中国は合衆国と同規模の関税を賦課できないのです。

そのため、ここにきて「中国が報復として保有する米国債を売却するのではないか」という流言が出ています。

しかし、これは不可能です。米国債を大量に売却したくても、まずそのような巨額のロットが市場には入りません。億単位で金融商品の売買をしている人はご存じでしょうが、動かすお金が大きくなればなるほど、市場では身動きが難しくなるものなのです。

さらに、合衆国に痛打を与えるほど米国債を売ろうとすれば、当然ですが値は急速に下がっていきます。売れば売るほど値が下がり、中国は売却損を抱えることになるでしょう。

そして最後に、米国債は「合衆国に不利益を与える売買を遮断すること」が可能な債券です。合衆国に敵対する国家、勢力が大量に売却するような事態になったら、合衆国はそれを止め、資産としての米国債を紙くずにすることができるのです。しかも、現在では株式や債券は電子化されていますので、ボタンひとつで停止可能です。

ですから中国は恐らく「報復としての米国債売却」は行わないでしょう。もちろん「(報復の手段としては)行えない」というのが本当のところです。

(柏ケミカル@dcp)