左派の皆さんなら「それは死の商人なんじゃないのか」と言い出すかもしれません※1。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、輸出が弱体化してきているので、2022年10月27日に開催された「第11次非常経済民生会議」を開催。
「全ての省庁は産業通商資源部のつもりで頑張ろう」と檄を飛ばしました。
↑「第11次非常経済民生会議」で話す尹大統領。大統領室が公開した動画からスクリーンキャプチャー。
全ての部署は商売に精を出せというわけですから、なんだか北の国の首領様のような言いようです。
それはともかく、尹大統領の発言には興味深い点がありました。ご注目いただきたい発言を韓国メディア『朝鮮日報』の記事から引用します。
(前略)
尹大統領は省庁間のコラボレーションを注文し、自分の考えを明らかにした。尹大統領は、原発・防産(防衛産業の略:引用者注)の輸出と関連して「原発・防衛は国家安全保障と密接な関係がある」とし、産業部と国防部を中心に協力して、より精密な戦略を設けるように指示した。
尹大統領は06月末、NATO首脳会議に出席した経験に言及し、「ポーランド、チェコ、中東諸国で原発と防産がセットとなり、私たちが原発を輸出すれば原発管理まで期待している」とした。
それとともに「原発と防産パッケージの輸出がうまく行えるように、全ての政府省庁が心を合わせなければならない」とした。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「ユン大統領『すべての省庁が産業部… 輸出のためにみんな一緒に飛び込んでください』」
尹大統領が挙げているポーランドは、現在韓国の大のお得意様になっています。ウクライナが隣国で、ロシアの侵略が全く他人事ではないため、防衛力の強化に勤しんでいるからです。
ポーランドは、韓国から戦車「K2」、自走砲「K9」、軽攻撃機「FA50」を総額25兆ウォンで購入することを決めていましたが、これに追加して多連装ロケット砲「天舞」を8兆5,000億ウォンで購入します。
合わせて33兆5,000億ウォンです。
さらには、歩兵戦闘装甲車「AS21」の購入も視野に入れているとのこと。まさに爆買い状態です。韓国側もポーランドの爆買いに湧いています。
しかし、他の国が同じように韓国の兵器を買ってくれるかどうか分かりません。ましてや、原発※2と防衛装備の抱き合わせパッケージというのは。
昔、ガンプラが大変なブームで品薄だったとき、あるプラモ屋さんが「ボール」と「名古屋城」の抱き合わせ販売というのをやったそうです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の提案はそこまでひどくないにしても、「韓国から原発と戦車を一緒に買おう!」という国もあまりないように思うのですが……そんなことはないのでしょうか。
※1もっとも、韓国の借金王こと前文在寅大統領(左派)は、自国では「危ない」と原発建設を止めたくせに輸出には一生懸命でした。危ないと自分で認めたくせに他国に建設するのはOKという無責任極まる態度でさすがに韓国内でも批判が起こりました。
※2読者の皆さまもすでにご存じことでしょうが、韓国の原発輸出についてアメリカ合衆国『ウェスティングハウス』社から待ったがかかっています。韓国型原子炉APR1400は『ウェスティングハウス』固有の技術を用いて製造されており、知的財産権の侵害に当たる――というのが同社の主張です。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は2030年までに原発を10基輸出することを目標としていますが、早くも暗雲です。
(吉田ハンチング@dcp)