韓国レゴランドのABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)が不渡りを出したことをきっかけに、短期資金調達市場の金利が急騰。
火災が鎮火しない状況に陥っています。
自転車操業の企業のみならず、大企業でも資金調達が困難になるというタイトな状況です。資金の流れが梗塞され続けることは避けなければなりません。
2022年11月01日、韓国の金融委員会は急きょ、5大金融会社のTopを呼び出して「懇談会」を開催しました。
懇談会とは聞こえはいいですが、流動性の供給を手伝えと呼び出したのです。簡単にいえば「金を出せ」です。
「95兆ウォン突っ込め!」プランをまとめる
以下は、金融委員会が出したプレスリリースですが要点を和訳します。
①「金融市場安定」のために流動性供給を要請しました。
②実体経済への資金の流れが詰まらないように、中小企業などの資金需要が高い「実体経済部門の資金供給」のために継続的に信用を提供することをお願いしました。
③一方、最近の急激な金利上昇で元利金償還に苦労したり、新規資金調達に困難があったりする、制度圏金融から脱落した「脆弱な借り主支援」を銀行および金融会社が積極的に行うように要請しました。
上掲のとおり、どこを取ってもお金を出せという話です。
「金融安定市場のため」「資金需要の高い中小企業のため」「脆弱な借り主支援のために」資金を供給しろ、というのですから。
その上で、市場安定支援計画を以下のようにまとめました。
(1)市場流動性拡大:73兆ウォン
(2)債券市場安定ファンド・証券市場安定ファンドに参加:12兆ウォン
(3)5大グループ系列会社の資金供給:10兆ウォン
小計:95兆ウォン
という具合で、韓国5大金融グループは、2022年末までに95兆ウォン突っ込むことになりました。
緊急でこんな話になるということは、いかに韓国の資金調達市場が危機的状況になっているのかを示しています。
とにかく金利の急騰をなんとか鎮めなければなりません。
しかし、95兆ウォン突っ込んで沈静化できるかどうかは分かりません。全ては市場がどう判断するか――ですので。
(吉田ハンチング@dcp)