韓国で例の戦いがまた行われています。
造船会社 vs 鉄鋼メーカーの戦いです。
造船業では多くの鋼鈑が必要です。特に韓国のように巨大なLNG船で商売している場合には、鋼鈑の価格がいくらになるのかは直接利益に関わる重要ポイントです。
鉄鋼メーカーからすると、造船業は大のお得意様ですが、安く叩かれたりするのは困ります。特に、世界的に資源価格が急騰している現在では値切られるのは死活問題です。
これまで鉄鋼メーカーは造船業に対して安価に鋼鈑を提供してきたのですが、2021年にはついに耐えきれなくなって爆発。造船会社との折衝(というか大喧嘩)に乗り出しました。
そもそも韓国の造船業が安値を武器に受注を伸ばしてこれたのも、鉄鋼メーカーの我慢があってのこと。しかし、資源価格高騰で鉄鋼メーカーもついに我慢できなくなったのです。
Money1でも、もうずいぶん前にご紹介しましたが、鉄鋼メーカーの値上げ圧力に屈した造船会社の業績が予想に反して赤字に転落。韓国メディアでもアーニングショックとして注目しました。
造船会社が業績発表の際に「鋼鈑価格が上がったため」と、赤字転落を鉄鋼メーカーの責任としましたので、これで鉄鋼メーカーが猛反発するという事態になったのです。
「20万ウォン下げろ!」「そうはいくか」
さて、今回の造船会社と鉄鋼メーカーの戦いです。
鉄鉱石の価格が落ち着いてきたので造船会社としては、鉄鋼メーカーに鋼鈑の価格を下げろと要求。本件を報じた『亜洲経済(韓国語版)』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
造船業界は鉄鉱石価格の引き下げと共に、グローバル鉄鋼製品の需要減少を理由に大幅な引き下げを要求している。鉄鋼業界は、造船業界の要求を聞くほどの余裕がないという立場を固守している。造船業界は、今回の交渉結果により、下半期の実績が影響を受けるので、必ず有利な結果を出すという立場だ。
03日の鉄鋼業界によると、『ポスコ』と『韓国造船海洋』など国内の造船会社の鋼鈑価格交渉が盛んだ。
造船業界は20万ウォン以上の価格引き下げを主張しており、鉄鋼業界は引き下げ幅を最小化または凍結しなければならないという立場であると伝えられる。
⇒参照・引用元:『亜洲経済(韓国語版)』「조선업계 “20만원 인하해야”vs철강업계 “큰 폭 힘들어”…후판가격 둔 치열한 협상」
鉄鋼メーカーの韓国内向け鋼鈑価格は「120万ウォン/トン」なので、造船業界は「100万ウォン/トン」にしろと言っているわけです。
ちなみに輸入鋼鈑価格は、09月に「98万ウォン/トン」まで落ちたものの、10月28日基準では「106万ウォン/トン」とのこと。
造船業界は下半期の業績に影響するので是が非でも下げさせるつもりですし、鉄鋼メーカーは「そうはさせるか」と防戦しています。
この両者の仁義なき戦いの決着がどうなるのか、ぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)