韓国は信用格付けが異常に気にします。
古くは1997年アジア通貨危機時に信用格付が下落して資金流出を加速したことがありますし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんが大統領に就任する直前、2003年02月10日、『Moody’s(ムーディーズ)』が「positive」から「negative」に引き下げたことがありました。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんの件は文在寅さんが自伝『運命』が悔しそうに記していますが、鈴置高史先生の分析によれば、このために盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はアメリカ合衆国に詫び状を書かされました。
韓国はソブリンリスクが高いと判断されたくないのです。そのため、韓国政府は毎年世界的な信用格付会社『Moody’s(ムーディーズ)』『Fitch(フィッチ)』『S&P』と協議を行ってます。
韓国は政府自身が認めていることですが、現在「経済的な複合危機」に見舞われています。これを格付け会社がどう判断しているのかは気になるところです。
タイムリーなことに、韓国メディア『毎日経済』が『フィッチ』のアジア・太平洋地域国家信用等級担当に書面インタビューを行いました。
『毎日経済』の記事の一部を以下に引用します。
ジェロミー・ジューク『フィッチ』アジア・太平洋地域国家信用等級担当局長は、『毎日経済』との書面インタビューで「韓国は短期的な困難を乗り越えるのに十分な対外的、財政的緩衝装置を持っている」としながらも「域内市場のボラティリティー、高い水準の家計負債、地政学的リスクなど、我々が注視しているリスク要因が多いのも事実」と話した。
全世界が直面している複合危機に対する韓国経済の脆弱性を懸念する発言だ。
彼は特に対内外的に歴代最大の1,870兆6,000億ウォン(第3四半期基準)まで上昇した家計負債を最大の危険要素に挙げた。
ジュークさんは『フィッチ』のアジア・太平洋地域国家信用等級担当局長なので、この方の意見には要注目です。
ジューク局長は、韓国には多くのリスクがあって、その中でも急増した家計負債を最大のものと見ている、とのこと。
また、以下のようにも述べています。
(前略)
ジューク局長は「グローバル需要の鈍化、高いインフレ、金利上昇の結果、韓国経済も短期的な困難が大きくなっている」と指摘した。最近与野政争に国会予算案処理が霧散した状況で、コロナ19以後に大きく増えた政府負債も負担要因として指摘した。
彼は「今年、韓国政府が出した2023年の予算案には、来年とそれ以後の財政赤字幅を大幅に減らすという方向性が盛り込まれたが、短期的には政府赤字が増える状況にある」と話した。
(後略)
政府負債が増加している点にも注意を促しています。韓国経済の復元力に影響するからです。民間で余力がないのであれば、政府が出すしかないのでこの指摘は至極当然といえます。
ジューク局長の言葉には出てきませんが、韓国はこれまでマシだった企業負債の増加速度も増しています。金額を並べてみると、3部門の負債は以下のようになります。
企業負債:2,476兆3,000億ウォン(2022年09月時点)
家計負債:1,870兆6000億ウォン(2022年09月時点)
3部門合計:5,385兆1,000億ウォン
政府・企業・家計の3部門すべてが借金ドライブです。
信用格付けがどうなるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)