最近韓国メディアに「Peak China(ピークチャイナ)」という言葉が登場するようになっています。
意味するところは「中国の経済発展はピークに達し、これからは下り坂だ」といった意味です。このような言葉が登場する背景には、対中国貿易でもうからなくなったこと、アメリカ合衆国の対中国攻勢があると考えられます。韓国らしいといいますか、現金な話ですが、問題は「具体的に今からどうするよ」――です。
合衆国が中国を敵とみなして新冷戦を始めたことにもピンとこず、中国・無錫に最新ファウンドリーを建設する『SKハイニックス』があるような国なのです。「今から?」感は否めません。
例えば、『ソウル経済』は本件に関した記事内で以下のように書いています。
(前略)
問題は、中国経済の鈍化によって韓国経済まで揺れるかもしれないという点だ。実際、韓国の貿易で中国が占める割合は通常25%に達する。
中国が今年から一名「双循環」と呼ばれる内需消費中心の経済体制に本格転換する可能性が大きいという点を勘案すると、対中依存度を下げる作業が切実だ。
経済省庁のある高位関係者は「インドの場合、全人口は14億人で中国と似ているが、中尉年齢が28.4歳で中国より10歳以上低い」とし、「インドが今後全世界工場の地位を受け継ぐ可能性が高く、政府もこれに対応し、これまで相対的に無視していた国家別のカスタム進出戦略を組んでいる」と説明した。
最近、尹錫悦(ユン・ソギョル)政府がベトナムなどが属する東南アジアを3大主力市場、中東などを3大戦略市場に位置付けたのも同じ脈絡だ。
(後略)
この記事内に登場する「双循環」というのは、2020年05月14日の中国「党中央政治局常務会議」で登場した言葉です(2020年10月26~29日開催の中国共産党第19期5中全会」でも言及)。
これは「内需拡大を行い、海外の外需も利用して、内需・外需をクルマの両輪にして経済を回そう」という構想を意味しています。
ですので、記事で書かれている「内需消費中心の経済体制に本格転換する可能性が大きい」という言及とは少し違います。「内需中心」ではなく「内需をもっと拡大しよう」なのです。
ただ、韓国にマイナスの影響を与えるだろう、という未来は変わりません。
意味するところは「もっと貿易に依存しないでもやっていけるようにしよう」なので、ドメスティックな中国企業が生産するもので消費をまかなう、つまりは「韓国の輸出品目を買わなくなる」と予想されるからです。
韓国の立場が弱いのは、韓国のビジネスモデルが「資源・中間財・資本財を輸入して製品を輸出する」というものだという点に尽きます。技術力が中国に追いつかれた段階で、中国は韓国からの製品が不要になるのです。
実際、かつて韓国の主力輸出品であった自動車、スマートフォン、家電などは中国市場でほとんど売れなくなっています。もう中国産でいいじゃないか、というわけです。まだ中国市場で通用するのは、ワールドワイドでブランド力を維持している物だけです。残念なことに韓国にはそのような物はほとんどないのです。
総じていえば、韓国の対中国輸出は衰亡していくしかありません。実際、そうなっています。それが顕著に現れたのが2022年です。以下は、韓国の対中国貿易の収支(輸出 – 輸入)の年次推移です。
2018年に「556億ドル」あった対中国貿易のもうけは、2022年にわずか「12.5億ドル」まで激減しました(2022年はまだ速報値)。
わずか4年で対中国貿易のもうけは「97.8%減少」したのです。
中国から輸入する資源・資本財などの価格が下落すると回復するかもしれませんが、もう対中国貿易ではかつてのようなボロもうけはできない、と考えた方がよいでしょう。
――で、どうするか?です。
『ソウル経済』の記事は、東南アジアや中東に商売の半径を広げるべきで、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権もそのために動いている――としています。
しかし、これもスグに効果を上げるかどうか疑問です。何より東南アジア市場には「日本」という強力な敵がいます。「韓国の明日はどっちだ?」状態に陥っているのです。
第二次世界大戦後の韓国は日本を模倣してここまできました。それがもう限界で「これ以上は無理」と見ることもできます。「長年に渡って積み上げてきた技術や信頼」は模倣できないのです。
「ピークチャイナ」という言い方も「あのブドウは酸っぱい」に聞こえませんか。
(吉田ハンチング@dcp)