2023年04月11日、韓国の外交部が定期記者ブリーフィングが行われましたが、記者からの質問のほとんどが日本に関するものでした。
<質問>
日本が今日公開した2023年の外交青書では、韓国の徴用工解消法発表を記述しながらも、日本側の歴代内閣の歴史認識継承は欠落していると言われていますが、これに関連して外交部の立場をお願いします。
(『メディアペン』キム・ソジョン記者)<回答>
03月初めに発表された韓国政府の解決策は、韓国の高められた国格と国力にふさわしい大乗的な決断であり、私たちの主導的な解決策です。日本政府は、同解法発表当日と日韓首脳間の共同記者会見の際、岸田首相と林外務大臣などに「金大中・小渕共同宣言」を含む歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として継承することを何度も確認しました。
日本が継承することとした「金大中・小渕共同宣言」は、強制徴用(原文ママ:引用者注)の根源である植民地支配全体に対する痛切な反省と心からの謝罪を含んでいます。
日本政府が同宣言の精神を変わらずに継承していくことを願っています。
(中略)
<質問>
今日2023外交青書に対する外交部スポークスマンの論評で、独島関連事案についてのみ立場を出し、強制動員(原文ママ:引用者注)関連では言及がなかったのですが、特別な理由があるのでしょうか?
(『ニュースウオッチャー』チャン・ユンソ記者)<回答>
今日の論評の主な内容は独島問題に関するものでした。 そして慰安婦関連日本外交青書に出た部分に対する政府の立場は今申し上げます。2015年の日韓慰安婦合意は、被害者の尊厳と名誉回復、そして心の傷を癒やすことにその核心を置いています。日本政府は、このような両国間の合意の精神に合致した行動を示すべきだというのが外交部の基本的な立場です。
また、名称に対する日本政府の立場表明にかかわらず、この問題に関する韓国政府の公式名称は「日本軍慰安婦被害者問題」です。
<質問>
以前、政府で和解治癒財団の残余金の使用について議論すると言いましたが、議論がどの程度進んだか教えてください。
(『ザ・ファクト』チョ・チェウォン記者)<回答>
過去の和解治癒財団はご存じのどおり、清算手続きにある状況で、私たちはその残余金が慰安婦合意の基本精神に合致して執行されるように、各界の意見と関係部署の意見を収集しています。⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「外交部の説明(04.11)」
韓国政府が発表した、いわゆる「徴用工」問題の解決法は「韓国の高められた国格と国力にふさわしい大乗的な決断」だそうです。
「高められた国格と国力と自分で言うところがスゴいですし、大乗的な決断というのも、ずいぶん大上段に振りかぶった表現です。
もちろん、左派・進歩系が「日本に白旗」「屈辱外交」などと言うぐらいに、韓国政府としては清水の舞台から飛び降りるような気持ちだったのでしょう。
だた、日本からすればかろうじて体を守っただけのものに過ぎません。そもそも韓国の司法が国際法違反の判決を下したことが問題の根源であって、それについての落とし前がまだついていません。
であるにもかかわらず、「今度は日本応じる番」などと理屈の通らないことを述べています。度し難い話です。
幸いなことに脇の甘い岸田政権も新たな謝罪など行わず、金大中(キム・デジュン)・小渕宣言についても言及せずに済ましています。
この宣言は、木村幹先生が指摘していらっしゃるとおり、小春日和のような……率直にいえば「ヘンな政治機運」の際にたまたま出たものであって、現在の日本がそのような宣言に再びノせられるべきではないのです(木村先生の指摘については以下の記事を参照してください)。
それはともかく、傑作なのは外交部報道官の「今申し上げます」です。
04月11日に公表した韓国外交部の「日本外交ブルーブックに対する論評」では、「いわゆる徴用工」問題についてなんにも言ってないじゃないか――と突っ込まれて、このブリーフィングで付け足したのです。
「ははーん、すっかり片付いた気になってやがったな」です。
最後の記者からの質問も面白く、朴槿恵(パク・クネ)政権で合意して、文在寅政権で解散させられた「和解・癒やし財団」の(日本から供与されて)余った資金はどうしたんだ?「議論する」と言っていたじゃないか――と突っ込まれています。
報道官は「各界の意見と関係部署の意見を収集しています」などと取り繕っていますが、恐らく何もしていないでしょう。「返金する」といっても日本は受け取りませんし、他の用途に使うわけにもいきません。宙ぶらりんのママで推移しています。
全くいい加減なものです。日本は間違っても謝罪などしないように脇を固めることが必要です。
(吉田ハンチング@dcp)