経営が傾いている『韓国電力公社』(以下『韓国電力』と表記)。民間企業ならデフォルト騒動を起こしているような状態ですが、親方太極旗なので飛ばないで済んでいます。
そもそも「一国の電力インフラを担っている会社」の財政基盤が傾いているというのは、とても恥ずかしいことです。どこが先進国なのでしょうか。
先進国うんぬんはともかく、『韓国電力』が半期報告書を公示しました。貸借対照表の資産・負債・自己資本を見てみると、以下のようになります。
資産の部:236兆4,228億9,300万ウォン
負債の部:201兆3,500億500万ウォン
自己資本の部:35兆728億8,800万ウォン
負債比率:574.09%
負債比率を計算してみると「574.09%」になります。つまり自己資本の5.7409倍の負債があるわけです。
一応、韓国では「負債比率200%で危ない」とされますので、その基準からいっても破格の駄目さ加減です。
ちなみに負債は2022年末から半年で約8兆ウォン増えました。ざっくり1/10にしても8,000億円ですから、負債の増え具合も異常な速度です。
電気料金の値上げによって多少マシにはなっていますが、いまだに赤字の状態が続いており、韓電債を発行してキャッシュフローを回している状況です。
「韓国電力公社法」によって、「資本金と積立の合計」の5倍までは韓電債を発行できます。
2022年末時点で「資本金と積立の合計」は「20兆9,200億ウォン」でした。この5倍ですから、「104兆6,000億ウォン」までは韓電債を発行可能です。
ところが、07月末時点で、韓電債発行残高は78兆9,000億ウォンです。つまり、残り「25兆7,000億ウォン」しか発行できません。
これでキャッシュフローが凌げるのか、というのが一つ。
さらに問題なのは、残りの半期で赤字が継続して「資本金と積立の合計」が毀損された場合です。
市場の見通しでは「追加で約7兆ウォンの営業損失が出る」となっており、これが現実になると「資本金と積立の合計」が約14兆ウォンに減ると見られます。
ということは、その5倍ですから許容される債券の発行残高は70兆ウォンになってしまいます。
すでに発行残高は上記のとおり「78兆9,000億ウォン」なので、「どうすんのコレ」という事態になるのです。
もちろん、親方太極旗な上に電力インフラを担う企業ですので飛びはしませんが、赤字の分は結局国民が負担することになります。電気料金を適正な金額に上げないと、『韓国電力』の危機は続くと考えられます。
(柏ケミカル@dcp)