2023年には中国が自動車輸出台数世界一になる、と見込まれています。例えば、韓国メディアでも「日本を追い抜いて中国が世界一」と書かれているのですが、これはひとえに「やっすい電気自動車」の輸出に励んでおり、あくまでも台数ベースによれば……の話です。
中国の自動車輸出は、2023年01~10月累計で「392万2,000台」。前年同期比59.7%も増加しています。
残り2カ月で10月レベルの輸出量を維持すると2023年の累積輸出台数は490万台に達し、下半期に輸出が増加するという傾向を考慮すると500万台達成も夢ではない、という見方もあります。
中国メディアでは「日本を追い越して、歴代初めて自動車輸出第1位の国になる」という観測を伝えています。
しかし、これはあくまでも台数ベースでの話。例えば、上期時点で中国の自動車輸出の金額は「462億4,000万ドル」です。
ドイツ……1,008億2,000万ドル
日本……556億3,000万ドル
ですから、金額で見ると中国はいまだドイツの45.9%、日本の83.1%水準です。
つまり、やっすい電気自動車を大量に売っても、高級車として認知されているドイツにはまだ遠く及ばないというわけです。また、これ以上欧州市場を蚕食されてたまるか、というのでEUは中国自動車に対して制限をかけようとしています。
中国にとって助かるのは、ロシア市場が中国産の自動車ばかりになりそう――という現状です。ウクライナとの戦争によって、自由主義陣営国からの輸入がストップしたロシアは偏った市場になってしまいました。ロシアのような寒い国、しかもインフラが弱々な国で電気自動車や内燃機関エンジンがポンコツな中国産自動車では困りそうなものですが、これも身から出た錆で仕方ありません。
(吉田ハンチング@dcp)