中国メディア『证券时报网』に興味深い記事が出ました。
2023年12月17日、中国社会科学院の余永定教授が「2023年三亜-金融経済国際フォーラム」において「中国は米国債保有の秩序ある削減が必要だ」と述べたのこと。
この余さんは、2004~2006年に『中国人民銀行』の通貨政策委員を務めた方です。
余さんは「計算によると、合衆国の国家債務の対GDP比は上昇を続け、合衆国の純海外債務は時間の経過とともに悪化し続ける。同時に、FRBが利上げすることは合衆国の対外純債務の悪化を加速させる可能性がある。米国債の低クーポン金利を考慮し、海外純債務の急激な拡大がもたらす結果を考えれば、中国による米国債保有高の秩序ある削減が必要だ」としました。
また、余さんは「われわれは今、2008年のときの危機に再び直面している可能性がある。 国際格付け機関による合衆国ソブリン格付けの引き下げは、根拠のないものではない。 合衆国の海外純債務の対GDP比が上昇し続ければ、いわゆる『急停止』(sudden stop)もあり得る」と述べています。
2023年12月19日、アメリカ合衆国の財務省が「合衆国公債の主要ホルダーの保有金額」のデータを公表しましたが……10月はとうとう7,700億ドルまで減少。対前月比で「81億ドル」減です。
この7,700億ドルは、実に2009年以来の低水準です。
以下が2022年01月から2023年10月までの中国の保有金額の推移です。
↑中国の合衆国公債保有額は、2023年10月時点で「7,700億ドル」まで減少しています。
余教授のご指摘どおりの考えなのか、中国は確実に合衆国公債の保有額を下げています。
これは、中国による「脱米国」の動きです。中国がどこまで合衆国公債の保有を減らすのか、ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)