中国『恒大集団』が中国共産党政府から完全に見放されたと見るべきでしょう。少なくとも中国共産党政府は『恒大集団』を見せしめにするつもりです。
2024年03月18日、『中国証券監督管理委員会』は「行政処分および市場禁止の事前通知書」を公示しました(以下)。
対象は『恒大集団』の中核企業である『恒大地产集团有限公司』(略称は『恒大地产』:英語ではEvergrade Real Estate:エバーグランデ・リアル・エステート)※です。
※中国本土で不動産開発を行うディベロッパー
この文書では、2019~2020年の年次報告書に虚偽記載を発見し、売上と利益を水増ししていた――と結論付けました。
売上水増し
2019年:2,139億8,900万元(約4兆4,723.7億円)
2020年:3,155億5,700万元(約7兆3,182.8億円)
小計:5,641億4,600万元(約11兆7,906.5億円)
※日本円への換算は2024年03月19日の「1元=20.90円」で行いました/以下同
さすが大陸、スケールが違います。なんと、わずか2年間で「11兆7,906.5億円」も売上をごましていました。どうやってごまかしたかというと、売上の先取りです。将来に入ってくるだろう金額を取り込んで計上していました。
当然、利益もごまかしていました。
利益(経常)の水増し
2019年:407億2,200万元(約8,510.9億円)
2020年:512億8,900万元(約1兆719.4億円)
小計:920億1,100万元(約1兆9,230.3億円)
2年間で約2兆円も利益を水増ししていました。もうかっているフリをしていたのです。
さらに『恒大集団』は、社債発行においても不正を行っていた疑いがあるとしています。
2020年05月26日:40億元(恒大02債)
2020年06月05日:25億元(恒大03債)
2020年09月23日:40億元(恒大04債)
2020年10月19日:21億元(恒大05債)
2021年04月27日:82億元(恒大01債)
小計:208億元(約4,347.2億円)
上掲の社債は、『中国証券監督管理委員会』によると、発行時に発表した書類において、2019年と2020年の年次報告書のデータを引用していました。
つまり、ウソの報告書を投資家に提示して社債を発行したのです。引っかかった人はお気の毒としか言いようがありませんが、売上が大きなフリ、儲かっているフリをした会社の発行する債券を購入したことになります。
「許家印に罰金」などの処分を科す
『中国証券監督管理委員会』は、2019年および2020年の年次報告書に虚偽記載を行い開示した違法行為、公募社債の不正発行の疑い、関連報告書の提出や規則に基づく情報開示義務の不履行を認定。
・『恒大地産』に是正を命じ、警告を発するとともに罰金41億7,500万元(約872.6億円)を科す
・『恒大集団』総帥である許家印に罰金4,700万元(約9億8,230万円)を科す
・『恒大集団』元CEO・夏海鈞に警告と罰金1,500万元(約3億1,350万円)を科す
としました。
また、『中国証券監督管理委員会』は以下のように述べています。
許家印は金融詐欺を実行することを決定し、組織した。その手段は特に悪質であり、その状況は特に深刻である。
夏海鈞は虚偽の財務報告を作成することを組織し、組織し、その手段は特に悪質であり、その状況は特に深刻である。
証券法の関連規定に基づき、許家印と夏海鈞に対して、証券市場への参入を終身禁止することを決定する意向である。
許家印さんと夏海鈞さんを見せしめにしたところで、恐らくこんな事案は、中国では他にも山ほどあるはずです。「宇宙一の不動産屋」と豪語した会社がこんな中身だったのです。他にも同様のことを行っていた会社がないわけありません。
これで中国企業のウソがなくなるなど信じることはできませんし、もし信じるなら後できっと泣きを見るでしょう。
中国共産党政府がなぜこんなことを行っているかというと、外国人投資家にお金を出させるためです。中国共産党・中国企業に透明性など求めても無駄です。決して中国にお金をやってはいけません。
(吉田ハンチング@dcp)