「宇宙一の不動産屋」と呼ばれることもある中国の不動産開発ディベロッパー『恒大集団(エバーグランデ)』。『恒大集団』はMoney1でも何度も取り上げているとおり、巨額の債務(返済しなければならない借金)を抱えています。
仮に『恒大集団』が倒産なんてことになると、その衝撃は中国のみならず世界に波及します。そのため世界的一級紙『Reuters(ロイター)』や『Bloomberg(ブルームバーグ)』も注目してるのです。
今また同社の金融危機について注目されています。『Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)』は「これまで『恒大集団』がデフォルトに陥るといううわさはどれも実現していないが、だからといってオオカミが来ないとは限らない」と書いています。
つまり、いつデフォルト(債務不履行)を起こしても驚かないよ、というわけです。
『恒大集団』は、2021年06月24日に取締役会を開催し、
元本:約14億5,100万ドル(約1,607.4億円)
支払利息:約2億9,900万ドル(約331.2億円)
計:約17億5,000万ドル(約1,938.6億円)
を返済口座に送金するよう手配した、と発表しました。
自己資金でなんとかしないといけない理由
これが本当なら、『恒大集団』は難関を一つクリアしましたが、その引き換えに約2,000億円分のドルを吐き出したことになります。
『恒大集団』では、この返済を自己資金によって行ったと誇らしく宣言していますが、これには例の「デット・エクイティー・スワップ(Debt Equity Swap)」の一件以来、金融機関が同社への融資を絞る方向で動いていることが関係しています。
つまり他人の資金でなんとかしようとしても入手方法がないと考えられるのです。
実際、保有していた『恒腾网络』(Hengteng Network)と『嘉凯城集团』(Calxon group)の株式を約10億ドル分売却したことが分かっています。売却によって得た資金は来る返済に充てたものと推測できるのです。
今までであれば「17.5億ドル返してもまたすぐに借りられた」かもしれませんが、今回はそれが難しいのです。
『Bloomberg』は、『恒大集団』の債権者である少なくとも3つの銀行が、同社への融資を更新しないことを決定した、報じています。この3行の『恒大集団』への融資残高は2020年06月末段階で「460億元」(約7,898億円)に達していた、とのこと。ちなみに『恒大集団』はこの報道を否定しています。
債務総額は「33.5兆円」もある!
ドル建て債券、銀行ローン、住宅購入者からの頭金などを含む『恒大集団』の負債は、2020年末時点で「1兆9,500億元」(約33兆4,815億円)に達しています。
約33兆4,815億円のうち約2,000億の返済が終わったところで焼け石に水です。そのため『恒大集団』の動向には注意しなければならないのです。
(吉田ハンチング@dcp)