2024年06月19日、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を訪問し、金ちゃんファミリー三代目と熱々会談を行いました。
嫌われ者、寂しんぼ同士の熱い抱擁というわけですが、日本や韓国、およびアメリカ合衆国が注視しているのは、安全保障上の協約についてです。つまり、ロシアは本当に北朝鮮のケツモチをするつもりなのか?――です。
そのケツモチの内容も、北朝鮮が他国から軍事的に侵略した場合、自動的にロシアが参戦する――といったことが定められたのか?です。もしこのような協約があるなら、北朝鮮にとっては真のケツモチが現れたので万々歳ということになります。
ロシアメディア『タス通信』の報道の一部を以下に引用します。
ロシアと朝鮮民主主義人民共和国は、プーチン大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が出席した露朝会談を経て、包括的戦略的パートナーシップ条約、医療・医学教育・科学分野の協力に関する協定、両国国境の豆満江にかかる道路橋の建設に関する協定を締結した。
タス通信は、平壌での会談後のロシア大統領の主な発言をまとめた。
包括的戦略的パートナーシップ条約
この条約は、これまで達成されてきたことに留まるのではなく、両国の交流を「新たなレベルに引き上げる」ものである。この文書は、「長期的にロシアと韓国の関係を深めるための大規模なタスクとベンチマーク」を設定する。これは政治、貿易、投資、文化、人道的分野、そして安全保障分野にも関わる。
この条約は、とりわけ「一方の当事国に対する侵略行為があった場合の相互援助」について定めている。
(後略)⇒参照・引用元:『タス通信』「Стратегическое партнерство и отпор санкциям. Итоги переговоров Путина и Ким Чен Ына」
「一方の当事国に対する侵略行為があった場合の相互援助」となっていますが、具体的にどのような内容なのかは分かりません。
北朝鮮監視サイト『38NORTH』の記事でRACHEL MINYOUNG LEE(レイチェル・ミニョン・リー)さんは、以下のように書いています。
1961年の朝ソ友好協力相互援助条約第1条には自動介入条項があった。
2000年の朝ロ友好・善隣・協力条約は、この条項を侵略の危険がある場合には「遅滞なく連絡を取り合う」という条項に置き換えた。
2024年1月の崔善姫のロシア訪問に関する北朝鮮外務省の「プレスリリース」によれば、両国は「両国関係を新たな法的基盤に乗せるための実務的な問題の討議において、コンセンサスと満足のいく合意に達した」という。
「新たな法的基盤」という言及は、北朝鮮とロシアの軍事的結びつきが強まっていることを背景に、北朝鮮とロシアがプーチン大統領の訪朝中に、1961年の条約に似た自動的な軍事介入条項を新たな協定で復活させるのではないかという憶測を煽った。
⇒参照・引用元:『38NORTH』「Quick Take: North Korea Makes Unusual Military Reference on Eve of Kim-Putin Summit」
1961年の条約には自動介入条項がありました。しかし、これは「危ない」とロシアが判断したのでしょう、1996年南北バランス外交を理由に1961年の同盟条約をいったん廃棄しました。
2000年には「(危ないときは)速やかに連絡を取り合う」に書き換わったのです。
ロシアとしても、「北朝鮮が攻め込まれたからといって、ウチが自動的に巻き込まれてたまるか」だったわけです。
さて、今回の「包括的戦略的パートナーシップ条約」なるものの中身がどうなっているか?――です。「一方の当事国に対する侵略行為があった場合の相互援助」はいいとしても、「実際に何をする」と書かれているのでしょうか?
さすがにロシアもばかではないので「自動的に北朝鮮の戦争に巻き込まれるのはイヤだ」は変わらないでしょうが、ウクライナ戦争での旗色が悪くなってきましたので、北朝鮮から弾薬・ミサイルだけではなく、派兵も含めて最大限の果実を得るために、譲歩したことは想像に難くありません。
『タス通信』によれば、プーチン大統領、金正恩総書記の会談を予定を大幅にオーバーし、約2時間30分に及んだとのこと。
(吉田ハンチング@dcp)