中国企業が台湾『TSMC』の製造したチップを迂回して『ファーウェイ』に提供。

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すでに読者の皆さんの多くがご存じかと思われますが、記事を上げておきます。

2024年10月22日、カナダの技術調査会社『TechInsights』は、『Hauwei(ファーウェイ)』のAIプロセッサー「Ascend 910B」を分解調査した結果、台湾『TSMC』の7nm技術を用いたチップが使用されていることを発見した――と伝えました。

この「Ascend 910B」は、『NVIDEIA』の「A100」に匹敵する性能を持つとされ、以下ように性能比較の表組が中国語メディアにも出ています(和訳しました)。

台湾政府は、『TSMC』がこの発見をアメリカ合衆国政府に報告したと述べました。

トランプ政権時の2020年09月以降、先端半導体は『ファーウェイ』への出荷停止となりました。ですので、「Ascend 910B」に『TSMC』の技術供与があるのはおかしいですし、どうやって入手したのか?が問われることになりました。

制裁破りを行ったのは誰だ?――というわけです。

『ファーウェイ』は否定するが迂回輸出なのでは?

『ファーウェイ』は10月22日に、「合衆国の規制以来、『TSMC』を通じてチップを製造していない」と反論しています。

しかし、『Reuters(ロイター)』は『TSMC』の関係者から、中国企業『算能科技(Sophgo)』が注文したチップが、『ファーウェイ』のAscend 910Bプロセッサーに使われたチップと同じものだった――と報じています。


↑『ファーウェイ』への迂回輸出に手を貸したと見られる中国『算能科技(Sophgo)』公式サイト/スクリーンキャプチャー

つまり、こういうことです。

『ファーウェイ』が『TSMC』が製造する最新半導体を入手できないため、『算能科技(Sophgo)』が『TSMC』に半導体製造を依頼。

『算能科技(Sophgo)』が『TSMC』から半導体を入手して、それを『ファーウェイ』に流していた――と見られます。

『Reuters(ロイター)』など外信の報道が正しいのであれば、『ファーウェイ』は『TSMC』に直接製造依頼を行ってはいないかもしれませんが、フロント企業を使って迂回路とし、制裁逃れを行っていたことになります。

このような構造のため、中国語メディアでは「白手套(バイショウタオ)」という言葉で本件を報じています。

「白手套」は、「ダミー会社」や「代理人」を指す中国語の表現です。

特に、制裁や規制を回避する目的で、本来の主体が自らの関与を隠しながら活動する際に使われます。たとえば、ある企業が経済制裁の対象になっている場合、別の会社や第三者を利用して間接的に取引を継続する手段を「白手套」と呼びます。

これは、手袋を使って汚れを避けるふりがなという比喩的な意味から来ています。

迂回に手を貸したと見られる企業も全否定

合衆国の国家安全保障上の理由から、半導体微細工程の技術は『ファーウェイ』への提供が禁止されています。

『TSMC』は、『算能科技(Sophgo)』が『ファーウェイ』へチップを渡していたというので、『算能科技(Sophgo)』への輸出を停止しました。

制裁破りに加担したと見られる『算能科技(Sophgo)』は、2024年10月26日(日)、以下のような声明を緊急で出しました。

Xiamen SOPHGO Technologies Ltd.の声明

最近、一部の報道で「『TSMC』が合衆国商務省による調査が始まる前後に『SOPHGO』への供給を停止した」とされています。

商務省の調査は、『TSMC』が中国のテック大手『ファーウェイ』にチップを供給した可能性に関するものです。

これを受け、当社は以下の声明を発表いたします:

合衆国商務省の調査(TSMCとファーウェイの関連に関するもの)は、『SOPHGO』および当社製品とは無関係です。当社は、『ファーウェイ』との直接的・間接的な取引関係を持ったことは一切ありません。

『SOPHGO』は、適用される法令および規制を厳格に遵守して事業を運営しています。

これには、合衆国の輸出管理法および関連規制も含まれており、当社はそれらの法規に違反したことはありません。

当社は、詳細な調査報告書を『TSMC』に提出し、当社がファーウェイ関連の調査とは無関係であることを証明しています。

『SOPHGO』は、当社のビジネス評判を侵害する個人または組織に対し、法的措置を取る権利を留保します。これには、競合企業による悪意のある行為、虚偽情報の拡散、誤解を招く報道などが含まれます。

Xiamen SOPHGO Technologies Ltd.
2024年10月27日

⇒参照・引用元:『算能科技(Sophgo)』公式サイト「Statement by Xiamen SOPHGO Technologies Ltd.」

――というわけで、『算能科技(Sophgo)』は『TechInsights』『Reuters(ロイター)』の報道をきっぱりと否定しました。

台湾のIT専門家からは、「合衆国の対中輸出規制には抜け穴が存在し、今回の事件はその問題を浮き彫りにした」という指摘が出ています。

本件がどのような展開を見せるか、ぜひご注目ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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