2025年01月17日、アメリカ合衆国の財務省が2024年11月時点での「合衆国公債の主要ホルダーの保有金額」を公表しました。
中国の保有額を見てみます。
2024年11月末時点で、中国は対前月比で合衆国公債の保有金額を85億ドル増やし、「7,686億ドル」としました。
データ出典:アメリカ合衆国財務省
以下が中国の保有額の推移です。
かつて1兆ドルを超えていた中国の合衆国公債の保有額は8,000億ドル未満で推移しています。
もはや中国共産党は増やす気はないでしょう。
中国はドル資産を減らしたい
中国が合衆国公債の保有量を減少させている理由について、最も大きいのは「米中関係の悪化」が考えられます。
中国政府は合衆国経済への依存度を減らし、ドル資産への過度な依存を避けようとしています。合衆国公債はドル資産の中核ですから、売却はその一貫と考えなければなりません。
合衆国公債の保有を減らしているのは、ポートフォリオを多様化させるためでもあります。
↑中国の「金」の保有量の推移。直近2024年12月は「7,329万トロイオンス(約2,280トン)」
データ出典:『中国 国家外為管理局』公式サイト
ドル資産に偏らないよう、合衆国公債を売却し、「金」や「ユーロ建て資産」、またその他の資産に切り替えているのです。これは、(よせばいいのに)人民元の国際化を進めるためでもあります。
国際間の取引でドル決済が減って人民元決済が増加すれば、外貨準備について懸念する必要も減ります。これはBRICs諸国の同じで、ドル決済を減らせれば……と望んでいます。しかし、どの国も人民元に覇権を握られるのは嫌なのです。
もうひとつ、台湾侵攻の準備と考えることもできます。
外貨準備のドル資産を合衆国公債で保有していると、ロシアのように凍結される可能性があります。合衆国公債は、いざというとき、それこそナノ秒で止められる可能性があるので、台湾侵攻を行うなら、外貨資産を合衆国公債で保有することは危険なのです。
(吉田ハンチング@dcp)