中国商務部報道官が定例記者ブリーフィングで、「CPTPP加盟に向けて積極的に推進する」と述べました。

上掲の先記事でご紹介したとおり、その言い草は「CPTPP加盟国は中国が加盟したらGDPが上昇するなどのメリットがあることを考えろ」という、傲慢なものでした。
『WTO』などの国際機関が「中国を加盟させたためひどい目に遭った」ことを考えれば、CPTPPは絶対に中国の加盟を許すべきではありません。
CPTPPの場合は、加盟国全員が賛成することが加盟条件なので、中国が加盟できる可能性はありません。
なぜ中国がCPTPP加盟を目指しているかといえば、自由民主主義陣営とのデカプッリングが深化して、合衆国、EUなど大きな市場から締め出されつつあるからです。
その過剰生産性を他国に向けることができなくなりつつあり、経済発展を支える「輸出」が弱体化しているのをなんとかするために他なりません。
法輪功系の歌舞いているメディア『看中国』が「中国がCPTPPに入れるわけないだろ」という記事を出しています。以下に同記事から一部を引用してみます。
現在、中国経済はかつてない困難に直面している。
公式データに隠された景気後退、債務危機、過剰生産能力、さらに地政学を優先する戦略的転換――。同時に、中国は「包括的・先進的環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」への加盟を繰り返し申請してきたが、すべて拒否されており、体制と世界自由貿易システムとの深刻な矛盾を浮き彫りにしている。
(中略)
程暁農は、国有銀行の融資が人脈頼みで審査機能を欠き、失敗投資の損失は銀行に転嫁されるため、悪循環が固定化していると説明。許成鋼は、こうした問題の根は「政治権力と財産権が党に集中する構造」にあり、この全体主義制度はCPTPPが求める市場化・自由化と正反対だと指摘する。
(中略)
許成鋼教授は制度を「政治権力構造・財産権構造・社会的コンセンサス」の三要素に分解。
中国では三者とも党に集中しており、民間企業も党組織を設置して党の指導を受けねばならない。住宅も所有権は国家、使用権は75年。ハート教授の「最終支配権」理論を引用し、「党がすべての最終支配権を握っている限り、法の支配も市場競争も存在しない」とした。
司法も党の政法委が統制し、独立性を欠く。
(中略)
許成鋼は「中国は制度的DNAがCPTPPと両立せず、形式的な政治声明では突破できない」と断言した。
(後略)※程暁農さんは経済社会学者・シンクタンク研究者。許成鋼さんはスタンフォード大学中国経済制度研究センター シニアリサーチフェロー。:引用者注
⇒参照・引用元:『看中国』「深度剖析中国经济已病入膏肓与CPTPP困局(中国経済はすでに膏肓に入り、CPTPPの困局に直面)」
許成鋼先生は、1950年浙江省出身の経済学者。中国の制度的なシステムと経済についてを研究してきた方えです。
そもそも中国の制度がCPTPPとは合致しないし、政治的なスローガンを連呼しても加盟などできない――という指摘は正鵠を射ています。
(吉田ハンチング@dcp)






