世界経済に大きな影響を与えるのが「原油価格」です。
例えば、第四次中東戦争をきっかけに1973年に起こった石油ショックでは、OPEC(石油輸出国機構)の6カ国が公示価格を70%アップ(1バレル3.01ドルから5.12ドル)としました。OAPEC(アラブ石油輸出国機構)は、イスラエル支援国に対する石油禁輸の実施、さらに上記6カ国は公示価格を2.28倍(5.12ドルから11.65ドル)に値上げすることも決定。アメリカはじめ先進諸国、日本も大打撃を受けました。
さて、我々の生活に大きな影響を与える「原油価格」なのですが、現在どのくらいの価格で推移しているかをご存じでしょうか? 実は原油価格はここのところ低水準でとどまり続けています。
原油価格の説明するときに必ず登場する「原油の種類」について知っておきましょう。
●WTI原油価格
北米の原油価格の指標として使われます。米テキサス州で産出する原油の価格です。
●ドバイ原油価格
アジアの原油価格の指標として使われます。UAE(アラブ首長国連邦)で産出する原油の価格です。
●ブレント原油価格
ヨーロッパの原油価格の指標として使われます。イギリスの北海油田で産出する原油の価格です。
この三種類は説明にあるとおり、それぞれの地域の原油価格の指標(INDEX)として使われます。ちなみに1バレルは約159リットルです。これも基礎知識として覚えておきましょう。
例えば、WTI原油価格でいいますと、2014年02月には「1バレル = 100.70ドル」もあったのですが、
03月:100.57ドル
04月:102.18ドル
05月:102.00ドル
06月:105.24ドル
07月:102.99ドル
08月:96.38ドル
09月:93.35ドル
10月:84.40ドル
11月:75.70ドル
12月:59.10ドル
と、年末には50ドル代まで急落。以降、原油価格は40-50ドルのレンジをいったりきたりしますが、
2015年12月:37.24ドル
2016年01月:31.70ドル
2016年02月:30.35ドル
2016年03月:37.77ドル
と30ドルまで下がってしまったこともありました。現在は48-50ドルぐらいです。3年前と比較すると半額にまで落ちているわけです。ここまで原油価格が低迷しているのは、供給量が多すぎるからといわれます。アメリカでは「シェールオイル革命」なんていわれましたが、シェールオイルは掘削が難しい、つまりはコストが高いオイルでもあります。この原油価格の低迷で採算が合わず、採掘が止まっている現場が増えているそうです。
原油価格の安定は日本にとって重要な課題です。水素社会への移行が提唱されたり、深海資源の開発などが進められていますが、それらの試みが実を結ぶまでは、石油を利用していくしかないのですから。
(高橋モータース@dcp)