05月に入りましたが、新型コロナウイルス騒動はまだ継続しており、韓国政府は流動性の危機(要は「お金が回らない」ってことです)を乗り切るために四苦八苦しています。
韓国政府は、国民に「一世帯当たり100万ウォン」の「緊急災害支援金」を支給するため、12兆2,000億ウォン規模の第二次補正予算を国会で通過させました。
2020年04月30日、韓国の国会、企画財務部は以下のとおりとしています。
総財源:14兆3,000億ウォン
上記の内、国費:12兆2,000億ウォン/地方自治体費:2兆1,000億ウォン
もともと政府案は「7兆6,000億ウォン」だったのですが、これに「4兆6,000億ウォン」を増額し、国費「12兆2,000億ウォン」としました。
増えた「4兆6,000億ウォン」は、「3兆4,000億ウォン」の国債発行、「1兆2,000億ウォン」の歳出の調整で賄(まかな)う、とのこと。
問題は、政府の財政赤字のレベルが格段に上がったということです。
2020年04月30日の『ソウル経済』の記事から引用します。
(前略)
総収入は482兆2,000億ウォンで1次補正よりも5,000億ウォン増加したが、総支出は531兆1,000億ウォンとなり、8兆ウォン増える。したがって財政収支の赤字は、本予算基準で71兆5,000億ウォンだったものが、2次補正基準で89兆4,000億ウォンに拡大した。
GDPに占める赤字の割合も3.5%から1.0%ポイント増の4.5%となった。通貨危機を経験した1998年の4.6%に迫るものである。
国家債務は819兆ウォンに増える。
本予算ベースでは805兆2,000億ウォンだったが、二度の補正を介して13兆8,000億ウォン増加することになった。
昨年末と比較すると、国家債務は90兆2,000億ウォン増えたが、すでに予告された3次補正まで勘案すると、100兆ウォン以上に増えることが確実視されている。
対GDPの債務比率は本予算基準39.8%だったものが41.4%まで高くなる。
(後略)⇒参照・データ引用元:『ソウル経済』「全国民災害支援金で財政収支の赤字がIMFレベルまで迫る」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
韓国政府の財政赤字は拡大し、国債の発行によって債務(借金です)も大きくなっています。IMF危機というのは、1997年のアジア通貨危機のことですが、対GDP比で見ると韓国政府の財政赤字はそれ以来の規模になっているのです。また1年で国家債務が「100兆ウォン」も増えるというのは尋常なことではありません。
このように財政赤字が深刻になり、経常収支が赤字に転落すると……以下の記事でご紹介したように、2008-2009年の「韓国通貨危機」前夜の状況に似てくるというわけです。
「状況」は深く静かに進行しています。韓国政府はこれ以上財政を悪化させないで新型コロナウイルス騒動を凌(しの)ぐことができるでしょうか。キーファクターはやはり「時間」です。
経済が好転するのに時間がかかるほどドボンになる可能性が高くなります。現状は、極めてダメっぽくなってきたといえます。
(柏ケミカル@dcp)